- 作者: 加門七海,東雅夫,福澤徹三
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
早速『てのひら怪談2』の中から特にオススメの作品を10作選び、それぞれにリンクを貼ってみました。いや、10作選ぶことの大変だったこと、大変だったこと。死ぬ気で20作まで絞り、そこからさらに涙を呑んで10作を精選しました。
と言うわけで、面白そうなものがあれば、ぽちっとクリックして、読みに行ってみてください。そして「あ、面白いな」と思っていただければ、そのまま他の9作を読むか、もしくは『てのひら怪談2』をどうぞ。
ちょっとえっちな作品が好きなあなたにオススメ
まずは、抜群のリーダビリティを誇る田辺青蛙「幽霊画の女」です。
生白い足がきっちり描かれている絵に描かれた幽霊の女と……という作品です。
ふと、足の付け根の辺りの肉にも触れてみたいと思ううちに、妙なことになってしまった。
愛犬との別れを経験したことのあるあなたにオススメ
怖くもあり悲しくもある、加楽幽明「禍犬様」です。
年老い、もう猟が出来なくなってしまったけれど、肉の味を覚えているから山奥に捨てなければならないという風習のある村での物語です。
山菜採りをしていた日のことです。私は誤って足を滑らせ、斜面から落ちてしまいました。
トリッキーな仕掛けによる鮮やかな反転が好きなあなたにオススメ
個人的な一押しでもある吉田悠軋「通夜」です。
法事の晩、ふと目が覚めたから残り物でもつまもうと思った主人公が見てしまう戦慄。
法事になると、お婆ちゃんは亡くなった人のモノマネをする。声色や口調までもがそっくりだから親戚の評判はなかなかのものだ。
季節の移り変わりに哀愁を覚えるあなたにオススメ
特に夏の終わりが悲しいひとにお勧めしたい、立花腑楽「夏の終わりに」です。
物語はこれといってありません。描写を楽しむ作品ですね。
僕の脳みそは、熱で半分くらいは溶けてしまったのではないか。
世にも奇妙な非日常に入りたいあなたにオススメ
ここから先は幻想奇想成分が多めの作品になります、大河原ちさと「魅惑の芳香」です。
この作品は嗅覚に強く訴えかけてくる作品です。ややグロ注意。
そう考えて愕然とする。
これを、食べ物と認識しようとしている。
刀の輝きにうっとするあなたにオススメ
もしくは痛々しい作品が好きなひとに勧めたい、朱雀門出「カミソリを踏む」です。
「魅惑の芳香」が嗅覚に訴える作品であったなら、これは痛覚に訴える作品ですね。
目の前の刃に片足を載せ軽く体重をかけると、さくりと刃が足の裏に潜り込む。
不可解な不条理世界が大好きなあなたにオススメ
奇想に満たされた作品は幾つもありましたが、いちばんのお勧めはこれ、峯岸可弥「橋を渡る」です。
橋の中央で道を塞いでいる、鼻削ぎを巡る物語です。
一足毎にその身を異形化させてゆき橋の袂に差し掛かる頃にはまるっきり獅子の姿になっている。
自称活字中毒者もしくは書痴なあなたにオススメ
最後は最も幻想的な作品を紹介して締めたい、君島慧是「デウス・エクス・リブリス」です。
古本屋で入手したある一冊の本を巡る小さくて大きな冒険です。
わっと机上に放りだした本の中表紙で、長い首を震わせて紙片から立ちあがったのはエッチングのモアである。
おわりに
著者名、作品名、本文からの引用は、すべて『てのひら怪談2』から行っています。ネット上にあるものとでは名義やタイトルが異なるものもありますが、どうぞお気になさらずに。
この他には大賞受賞作を始め、優秀賞受賞作や佳作の作品も面白いです。入選している作品は、今さら秋山が紹介するまでもないので率先して外しましたが「デウス・エクス・リブリス」だけは紹介せざるをえませんでした。傑作過ぎます。