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「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」を観ました

 2012年に放映された『LUPIN the Third -峰不二子という女-』は、毎週、楽しみに観ていたアニメです。
 従来の、おちゃらけつつも決めるところは決めるのが売りのルパン三世と愉快な仲間たちではなく、峰不二子の内面を抉るように描くために、全体的に陰鬱で頽廃的、峰不二子も幾重にもベールを被った蠱惑的な美女として描かれていました。
 2014年に公開された映画『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』は、そんな『峰不二子という女』の流れを汲む、硬派な路線です。

LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 通常版 [DVD]

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 映画と言っても新宿バルト9をはじめ、全国主要都市でのみ期間限定で公開された、しかも51分と短めの作品です。
 分量的には、どちらかと言うと30分アニメ2話分、と表現した方が、しっくり来るくらいです。でも、中身の濃さという観点では、ちゃんとした映画のそれです


 今回の舞台はドイツをモチーフとしているのか、西ドロアと東ドロアと、東西に分割された架空の国。ルパンと次元大介はリトルコメットという、宝石を盗むべく大使館に潜入し、首尾よく盗みだすことに成功するけれど、逃走経路という逃走経路でどうしてか回り込まれてしまい、ついに追手の銃弾によって負傷してしまうというオープニング。
 ルパンと次元を狙う殺し屋の、ヤエル奥崎が、また良いキャラで渋いです。ターゲットの墓を事前に用意しておいて絶対に逃さないだとか、殺す前にダイスを振って、ぴったり出た目の数だけ銃弾を使って殺し切るだとか、隠れ家に同じプラダの白ジャケットを何枚も持っていたり、一流のオーラを帯びています。
 勝手な印象かもしれませんが、一流に一流の哲学と言うか、流儀があって、はたから見ると、ただのゲン担ぎみたいなところもあるんですけれど、その人間なりの基本に徹して、厳守している人は、ふしぎな強さ、みたいなものがありますよね。ヤエル奥崎にも同じものを感じました。


 と言うわけで、本作のメインテーマは、狙撃も射撃も一流のヤエル奥崎と、次元大介がいかに立ち回るかというもの。
 シリーズキャラクタという存在は、シリーズを通して登場するが故に、だんだんとそのキャラクタ性が薄れてゆくと言うか、分かりやすい記号に集約していく……たとえば次元の場合は、帽子や髭ですが、本作を通して、久々に、次元の、ガンマンとしての一流さを見たような気がします。
『峰不二子という女』もそうでしたが、キャラクタの内面を、グッと、グーッと深掘りしてくれるのが、このシリーズの良いところですね。次の『血煙の石川五ェ門』も楽しみです


……ところで『LUPIN THE IIIRD』という表記は、なんとかならなかったのでしょうか。画で見る分には気になりませんが、文字にするとしっくり来ないことこの上ないですね。素直に『LUPIN the Third』では駄目だったのでしょうか……。

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 劇画風ではなく、従来のルパンの延長線上ですが、名探偵コナンとのコラボ作も観ていて感想を書いています。
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