雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

 逆転裁判3クリア。
 このゲームは弁護士のナルホドを操作して、事件を探偵パートで調査して、法廷パートで被告人の逆転無罪を勝ちとるものだが、その真髄は法廷パートにある。実際の法廷ではありえないんだろうけれど、登場する証人のことごとくが嘘をついていて、それをひとつひとつ暴いていかないと、まるで真相が見えてこない。したがって、探偵パートでは事件に関係ありそうなものを片っ端から証拠としてかき集めていくだけのルーチンワークになってしまっている。勿論、システマティックなのは法廷パートも同じで、基本は証人を揺さぶって、ボロが出たら証拠品を突きつけて矛盾を指摘することになる。しかし、審理を進めていくうちに、だんだん無意味としか思えない証拠品の使い道が判ったり、証人たちの不可解な行動の理由が見えてきたりして、そうなると今度は時間を掛けて揺さぶったりせず、ちゃっちゃと異議あり! 異議あり! 異議あり!!
 システムは前2作から何の変化もないが、キャラクタとストーリィは相変わらず、レベル高い。そこらのアドベンチャの追随を許さない、動きまくり喋りまくりのキャラクタはいい感じだし、うらみちゃんは超絶電波だし、ミステリ風味たっぷりのストーリィも良し。特に今回は最終話が秀逸。雪降りによる痕跡の問題、吊り橋炎上による陸の孤島化。後、あれ、カラクリ錠の場面。あそこの衝撃は、『アリス・ミラー城』を軽く凌駕。
 逆転裁判2の第3話以降が未クリアなので、受験後にでもやろう。


 キャラクタに関して、少々。
 勿論、随一は鹿羽うらみで、狂言回しの探偵・星威岳愛牙も嫌いじゃないんだが、気になるのは最終話に出てきた、被告人のあやめ。彼女はゲーム中、終始、いい感じに描かれるんだが、ミステリ的に考えれば、こいつが真・真犯人。だって最後の最後まで、弁護側に与そうか、敵側に与そうか、右往左往してるんだからあまりにラスボス過ぎ。操り的には、有罪だよなあ……。
 どうでもいいが、ゴドー検事はなんであんなに人気あるんだ。


 それでは今日の超短編です。ちなみに書き溜めておいた分は、ここまでなので、明日からは一日一篇です。
id:sinden:00010116 READ OR DREAM
id:sinden:00010117 COLOSSEUM
id:sinden:00010118 WHAT'S DONE CANNOT BE UNDONE
id:sinden:00010119 ORANGE RANGE
id:sinden:00010120 GOD SAVE THE QUEEN

土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』

 土屋賢二氏は森博嗣の著作『今はもうない』の解説を書いており、さらに森博嗣の日記に、

編集者「先生、エッセイは書けますか?」
森博嗣土屋賢二さんぐらいのものでしたら」

 という逸話があったので、森100を始めるとしたら、これからと決めていた。
『われ笑う、ゆえにわれあり』は二十篇ほどのエッセイを収録したもので、著者独自のブラックヨーモアと自嘲性に満ち溢れている。さわりを紹介しよう。

 以前から書きとめていたものがかなりの量になり、出版をしきりに勧めてくれる人がまわりにいなかったので、自分から出版を交渉した結果がこの本である。事前に何人かの人に読んでもらったところ、「面白くない」と言う者と、「つまらない」と言う者とに意見が分かれた。なお、公平を期するために、「非常にくだらない」という意見もあったことをつけくわえておこう。意見をいってもらったおかげですっかりケチがついたものの、少なくとも本書を正しく理解する人がいると知って、私は意を強くしたのである。
(はじめにより)

 これは本書の冒頭に書かれたものであると同時に、本書全体を象徴している一節。何て言うか、読んでのとおりである。ブラックユーモアと言うか、自嘲と言うか、自虐と言うか、捻くれていると言うか、面白くないと言うか、つまらないと言うか、非常にくだらないと言うか。

 また先日、同僚と話をしていて住居が話題になったとき、次のような会話がなされたことがある。
同僚「部屋数はどれぐらいですか」
わたし「五〇LDKになるところを三LDKに区切って使っています」
「そ、そんなに広いんですか。それなら値段も高かったでしょうね」
「いえ、たいしたことはありません。十億円はしませんでした」
「えーっ!」
(わたしのプロフィールより)

 上記は「著者が嘘吐きか否か」という文脈の中の一節で、著者はこの対談を紹介した後、「五〇LDKに区切れないことはない&確かに十億円はしなかった=わたしは嘘吐きではない」と述べている。
 ところで、自慢ではないが、秋山はとにかく笑いのガードが低い。「布団が吹っ飛んだ」「隣の柿はよく客食う柿だ」ぐらいで既に半笑いで、「青色ヤキソバ」や「煙草屋」に到っては爆笑の渦に飲みこまれ呼吸困難にさえ陥る。特に先日などは、砂糖と佐藤を掛けあわせた洒落に笑いそうになり、堪えたらコーヒーが逆流して鼻に……涙が溢れた。
 当然、本書も笑いなくしては読めなかった。特に三篇目の「助手との対話」。これは著者が会議をサボるために、助手に偽証を迫る対話を記したもので、著者は対話内において哲学知識を駆使して、助手を煙に巻く。これがもう、笑ってしまって笑ってしまって、中々、前に進めないのだ。笑うことに体力を使ってしまい、目が全然、文章を追うことができない。
 仕方がないので一日二篇ずつ読むと決め、今日、ようやく読みおえた。ただし、今日は九篇読んだ。――そう、全編に渡りパターンが同じなのだ。これでは全国の新米お笑い芸人にとって神様的存在である秋山でさえ、飽きざるをえない。
 それでも最初の十篇が楽しめたことは事実だ。飽きさえしなければ、残りの九篇も楽しめ、あまつさえ他の著作も求めたことだろう。悪い経験ではなかった。
……今、奥付を確認したが、十年前の本だ。十年もあれば作風も変わるだろうし、その筆致にも磨きが掛かっているかもしれない。……気が向いたら、最近の著作も探してみよう。

 500文字の心臓用にタイトル競作と、もえたん用に『闘う少女と残酷な少年』と『平井骸惚此中ニ有リ』のレビューを書いて送りました。もえたんは締め切りまで20日近く残ってますが、まあ、早いに越したことはない。と言うか、2月の後半はタスクが溜まってるから、できるものは今のうちにー。