書店で何気なく手に取った文庫本、まず何処をチェックする? 表紙、背表紙、裏表紙、帯、カバー裏、章扉、解説、そして……後書き。「何はともあれ、後書きを読む!」そういう本読みは、結構多そうだと思われる。かく言う自分も後書きから読む派だが、目に入った本の後書きを全て確認しているわけではなく、思い出したときにだけ確認することのほうが多い。また文庫ならば後書きか解説のどちらかがあることが多いし、学術書や新書ならば前書きや端書きがある。しかしノベルスとなると、これはない方が多い。迂闊に最後の頁を開き、結末を見てしまったときなど目も当てられない。悲劇だ。
それはさておき、富士見ファンタジア文庫系列の後書きは酷い。自分はライトノベル読みではあるが、そのターゲットは電撃文庫かスニーカー文庫のいずれかに絞られており、富士見ファンタジア文庫で読んだ本と言えば『スレイヤーズ』『フルメタルパニック』『カオスレギオン』の3シリーズしか思い浮かばない、しかも最初の方しか読んでないし。さて、先日なんとなく好奇心に駆られ、書店で富士見ファンタジア文庫を何冊か後書きだけチェックしてみたら、これがまた酷い。何が酷いかと言うと、作者の思考が垂れ流しなのだ。それこそ「はじめての人、はじめまして。毎度の方、ありがとうございます」で始まり、本編のネタバレの嵐に、どうでもいい蘊蓄の数々、果ては次回作の予告。蛇足中の蛇足である。本編を先に読み、感動したとして、その直後にこの後書きを読んだ読者は、何を考え何を思うのか。目も当てられない。
そこで理想とする後書きについて考えてみた。
まず、本編のネタバレやコメントはご法度だ。ある種、未読の人間に対する冒涜であるし、何より独り善がりで見苦しい。確かに、作品に精魂注いだ作者の心情としては、色々と語りたいところがあるかもしれないが、そういった欲求は、インタビューや個人サイトなどで吐いてほしい。下手に後書きを書いて失敗するよりは、元から書かない方が何千倍もましだ。
次は後書きをどういった要素で構成するか。後書きの読者として想定されるは2種類、先に読む派と後に読む派だ。先に読む派を相手とする場合、本編に期待を抱かせるような要素を詰めればいい。対して、後に読む派を相手とする場合、作品の余韻に浸らせるような要素を詰めればいい。この2種類をバランスよく、なるべく切り詰めて、詰め込む。そうそう、後書きのページ数だが、これは個人的に2〜4ページが適当であるかと思われる。2〜4ページであれば約1000文字前後。1000文字というのは、書き手にしてみれば長いが、読み手にしてみれば短い。書店で立ち読みされる事態を想定するに、最適だ。
問題は1000文字の中にいかに、前述した要素を詰め込むか。これに関しては、ダラダラと考えるより、手っ取り早く実践してしまった方が早いと考えたので、以下に実験を載せてみたのでそちらを参考してほしい。