毎週火曜日、慶應大学に出向いてある研究会に参加しています。新書を作って、出版社に持ち込んで、売ってしまおうということをやるものです。担当教員は元平凡社編集長で、秋山と同じ小田急線沿いに住んでいます。帰宅途中に没になったネタについて話したのですが、先生が「あれは一介の大学生が取り扱うのは難解すぎて、無理だった。没にせざるをえなかった」と言ったのに対し、秋山は「どんなに難しくても不可能なんてありませんよ、やるかやらないかです」と答えました。問題はこの後です。先生は秋山の返答に対し、その答えが許されるのは学生だからだ、商売でやるなら結果がすべてだと静かに言われました。衝撃を受けました。吊り革を掴んでいなかったら、倒れていました。それほどまでに説得力がありました。商売でやるならそして結果がすべて、悔しいですが、きっとその通りなのでしょう。砂漠のようにドライな理論です。湿っぽいだけの秋山なんて一瞬で干乾びそうに熾烈で容赦がありません。まだ秋山は、自分ひとりでは手の打ちようがない社会や現実の前に敗れたことはありませんが、この先ずっとひとりで無謀なことをやりつづけていたら、いつかきっと殴り飛ばされるでしょう。その日を恐れると同時に、一刻も早く来ることを願ってやみません。