- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/01/28
- メディア: 文庫
- クリック: 83回
- この商品を含むブログ (167件) を見る
相性の問題だろうか。取り扱っているテーマも、特異な発想も、外装に関して言えば何もかもが自分の趣味とぴったり合致するのだ。しかし実際に読んでみると、どうもしっくりこない、何かが足りないように感じてしまう。掴みとして充分な「エアハート嬢の到着」、二重の虹という幻想的なシーンにラストの驚きを持っている「春」、思い入れのあり大好きな絵を使った「イヴァンチッツェの思い出」、思わず震えてしまった「天球のハーモニー」、ようやく結ばれたふたりを祝福すると同時にエピローグに深く溜息をついてしまった「記憶」。いずれも素晴らしいことには素晴らしいのだが、何故か「素晴らしい!」と声を大にして賞賛するには、はばかれる。
いずれ。恩田陸作品を十全に楽しめる日が来ることを、願って止まない。