雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

食卓にビールを

 ファンタジアバトルロイヤルに掲載された短編四編に五編の短編掌編を加えた短編集。十六歳の女子高生で小説家で物理オタクで人妻であるというぶっ飛んだ設定を持つ主人公が、様々なSF事件に遭遇し、これを出鱈目に解決しつつビールを楽しむという妙なお話。これがまたはっきり言って訳が分からない。本当にSFなのか、そうではないのか。作者は何処まで本気なのか、何処まで考えて書いているのか。何も分からないのだけれど、それでも何だか楽しいのだ。文章は最近ありがちな一人称による思考垂れ流し的なのだけれど、主人公が自意識過剰な青少年ではなく、家計を第一に考える人妻女子高生なので、語り口があっけからんとしていて実に読みやすい。旦那との会話も素直な愛があるもので、読んでいるとこちらまで微笑んでしまう。挿絵もたまに顔が縦に細長いのがあるのだけれど、全体的にラブリィな感じなのでいい感じ。
 いやあ、いい小説を読んでしまったなあ。良かった良かった。二巻も読もう、これはとっても楽しみ。