雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

水曜日は夢を見た、昔の夢を、夢に見た

炎をまとった矢が襲いくる。その量は絶大で、いくら高いやぐらと言えど、十本に一本は、頂上まで届かせてしまう。姫を狙うその一本だけを、叩き落せばいい話だが、襲いくる矢が百本ならば、姫に迫る矢の数は十本もある。十の矢を、唯一人の男で何処まで防ぎきれるものか。既にやぐらを構成している、材木部分に何十本もの火矢が刺さっている。あちこちに燃え移った火が、パチパチと音を立てながら、やぐらを蝕む。陥落するのも時間の問題だろう。それは遠い先ではない。三本同時に矢を叩き落しながら、男は残りの七本をその身に受ける。息を吸うために開いた口から、逆に血が零れでる。吐き出す血がなくなったときが己の死ぬときだ。男は歯を食いしばり、さらに刀を振るう。豪風を巻いて、刀が迫りくる矢を吹き飛ばす。そのとき、やぐらが傾いた。姫がやぐらから落ちそうになる、男は咄嗟に左手を伸ばし、姫の肩を支える。その隙を突いて、右手の甲を鉄の矢が貫いた。歴戦を共にしてきた刀を、男は手放してしまう。刀は一直線に地面に落ちると、深く突き刺さった。さらに多くの矢が男に殺到する。もはや手段はこれしか残されていないと悟ると、男は姫を深く抱きしめた。何十本もの矢が男に迫る。とうに死に瀕していた男は、ほぼ一瞬で絶命した。何本かの矢は男を貫通し、姫に至った。姫は数秒ほど死んだ男に抱かれ涙を流していたが、やがて絶命した。