雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ネタバレに関して

 先日、探偵小説研究会の羽住典子さんと、ネット上で書評を書く理由やネタバレのしきい値に関して話をしました。話している間に非常に興味深い指摘や発見もあったのですが、ここでは雲上四季におけるネタバレについての方針を述べるだけに留めておきます。
 そう言えば、以前、たそがれなんとかというサイトの人が、「ネタバレをする」という表現を読むだけでイライラすると書いていたような気がします。ネタバレをする、ネタバレをする、ネタバレをする、*1
 さて、しばらく前から雲上四季では未読者を対象に、本を紹介することを心がけて書評を書いています。具体的には、既読者しか分からないようなネタや、秋山の独り言でしかない表現を避け、サイドバーに書いた「未読者を対象に本を紹介する目的で書かれた書評」で自らを戒めつつ、ネタバレに気を遣っています。気を遣っているとは言え、まったくネタバレしていない訳ではありません。いえ、この表現は語弊がありますね。正確に言うならば、
 雲上四季では作品のネタバレを行っています
 詳しく説明します。秋山が思うに、作中に登場する人物の名前を明かすことや、その作品が例えばミステリであることなどを教えてしまうこともネタバレのひとつです。羽住さんには、それは気にしすぎだと言われたのですが、著者が書いた以外の文章はネタバレに思うのです。したがって書評はおろか、帯や裏表紙などにある作品紹介も、秋山にとっては一種のネタバレです。何故なら、どんなに些細な情報であったとしても、それをあらかじめ知らされてしまうことによって、なにも知らずに作品を読んだときに得られていた感動が薄れてしまうかもしれないからです。
 しかし、まったくネタバレしないように、例えば「○○さんが『××』というタイトルの新刊を出しました」と紹介しても、書評を読んだ人が『××』という作品に興味を持つとは思えません*2
 そこで、秋山が採っている方法は、
 書評を読んだ人が興味を持つ程度にネタバレする、です。
 言うなれば「ネタバレされずに読んでいたときに得られたであろう感動」と「紹介されることによって読もうという気持ちになる確率」を天秤にかけネタバレしているわけです。
 それでは具体的に、どのようにしてその基準となる線引きをしているのかと言うと、これは作品ごとに異なります。思い切って落ちまで明かしてしまうこともあれば、最初の事件が起こるまでを説明することもあれば、登場人物の説明だけに留めておくこともあります。これに関しては秋山を信じてもらうしかないでしょう。けれども、そうですね。秋山が思うにこの線引きの絶妙な人こそが、うまい書評家なのです。必要最低限のネタバレで、作品の魅力や本質を、的確に表現する。そう言うひとに、秋山はなりたい。

*1:う、これ以上やると月の出ていない晩は外出できなくなる

*2:厳密に言うと、この文章が書いた人のアンテナに『××』が引っかかったという情報が与えられてしまうので、これもネタバレ。