- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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不透明な池の中で泳ぐような読書体験だった。藻に足を掴まれ、もがいているうちに水を飲んでしまい、咽かえり、気を失ったところで引き上げられたような感じだ。その何とも言えない展開と作風とに、一息ついて附記を読んで驚愕していた。どうやらこの物語は、現実にあった事故(もしくは事件?)を下地にして書いているようなのだ。恥ずかしながら、それをまったく見ぬことができなかった。もし本書がその事件を知っていなければ楽しめないものなのだろうかと問いかけられたら、そんなことはないと答えられる。津原泰水の作風を気に入っているものであれば、問題なく読めるだろう。