雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

9月の読書メーター

読んだ本の数:19冊
読んだページ数:5366ページ
ナイス数:95ナイス

火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫)
王道のど真ん中を直進する真っ当な戦記ファンタジィ。「全軍、我に続けー!」のシーンは、ほんとうに号泣だった。もし、あの場にいたならば、すぐに剣を抜いて、駆けつけていただろうと思う。レオン独りに人を殺させちゃ駄目だ。後、他の作品と一線を画すのは、やはり黄昏の主なる、謎の存在に仕えている他の人間には見えない助言者「パンドラ」の存在だろう。やがてレオンの前にレオン同様、精霊を助言者として連れているライバルが現れるだろうと思うと、期待に胸が膨らんで仕方ない。これは最終巻まで絶対に読む。
読了日:09月09日 著者:師走 トオル
誘う森 (創元推理文庫)誘う森 (創元推理文庫)
創元推理文庫だったので読んでみたけれど、最後まで今ひとつの感が否めない。前半は主人公を含め、どの主人公も何を目指しているのか、何を隠しているのか分からず、闇の中を手探りで進むような読感が非常に不安定で居心地が悪かった。中盤以降は一気に手掛かりが開示され、霧が晴れるような快感があるけれど、ややご都合主義に寄り過ぎているような。自殺した妻の、ほんとうの遺言が明かされるシーンだけは、好きと言えるかもしれない。それくらい。
読了日:09月14日 著者:吉永 南央
少女ファイト(8) (イブニングKCDX)少女ファイト(8) (イブニングKCDX)
読むのが久々だったので、今までの流れを思い出せなかったけれど、一冊通して書ける内容が二話分に凝縮されていたりして一気に引きこまれた。泣いてしまったのは「さーせーん」のくだりだけれど、この本で繰り返し読むべきは「なぜなら友達と一緒に夢などを目指すのがそもそも間違いなんですよ(中略)君に対してやっかみや変な思い入れの無いプロの編集の意見をね」だろう。『G戦場ヘヴンズドア』の存在を思い返すと深みのある科白。後『G戦場〜』には漫画を描くのに大事なのは「人格」というシーンがあったけれど、バレーも、やはり「人間」か。
読了日:09月14日 著者:日本橋 ヨヲコ
戦国妖狐(7) (ブレイドコミックス)戦国妖狐(7) (ブレイドコミックス)
第2部の始まりということで、時代が移り変わっていたり、全く異なる登場人物たちが出てくるのかと思いきや、第1部のあるキャラが雰囲気をガラリと変えて主人公になっていて驚いた。それにしても、月湖が可愛くて困る。悲観的で偽悪的だった第1部の主人公と比較すると、第2部の方が直線的で好ましいかもしれない。後、偉ぶっているたまより、素直な月湖が可愛くて困る。とは言え、唐突な温泉シーンの、あのコマには驚いた。神々しすぎるだろう。でも、それすらも月湖の可愛さの前には……結論としては、月湖可愛い。
読了日:09月14日 著者:水上悟志
恋に鳴る 1 (まんがタイムコミックス)恋に鳴る 1 (まんがタイムコミックス)
久々に山名沢湖の名前を見かけたので買ってみた。「音」と「恋」をテーマにした短編集。どれも、もっと長く読みたいのに、あっさり終わってしまうのが残念だけれど、それだけ物語に吸引力があるということなのかもしれない。良いなと思ったのは「ざばじょぼしゃばじゃあ」「じーっ」「ぺたり」「ぱたん」「ザッザッ」の5編。読み終えてから、読書メーターを見てカバー下の1ページ漫画を読んで、ふと微笑。山名沢湖は、ほんとう、この手の、読み手の肩の力を抜かせる漫画がとても得意。とても好き。
読了日:09月14日 著者:山名 沢湖
パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)
小学生を語り手とした、非常に馴染みやすく、文体の楽しい小説。けれど「出会いがあり、中盤で別れがあり、その後、人知を超越した存在があり、再会がある」という物語構造は、完全に『小説家の作り方』と重複するので「これは、いかがなものか」と思わないでもない。一番、ゾクゾクしたのは、さなかが「友達を解き明かした」と、理桜に対して部屋で説明するシーン。秋山が大事にしている抽象的で曖昧なものが、理論でズタズタに解き明かされそうになるのには、恐れと快感が同時にあった。
読了日:09月17日 著者:野崎 まど
六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)
80人の特殊能力を持つ聖者が存在し、魔神を討つために運命の神に選ばれた6人の勇者が戦う話。と、思いきや、旅路は、そのファーストステップで躓いてしまい、いきなりミステリ模様。犯人と思しきを1人ずつ殺していくという状況は人狼的ではあるけれど、実際には嵐の山荘に集った人々がパニックに陥るという、あるある系。トリックそのものは、聖者と特殊能力を上手く利用した幻想ミステリで好みだけれど、主眼は、あくまでもパニックと異能バトルにあるので、2巻以降を読むかどうかは、そのときの気分次第。
読了日:09月17日 著者:山形 石雄
火の国、風の国物語〈2〉風焔相撃 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語〈2〉風焔相撃 (富士見ファンタジア文庫)
1巻が面白かったので、着手した2巻。前巻は戦記物の王道を歩んでいたけれど、2巻ではいきなり敵視点から始まって驚いた。「風焔相撃」というサブタイトルの通り、終盤でアレスとミーアが争うシーンがあるのだが、ミーア視点で見るアレスは、ほんとうに悪魔が憑いているようで恐ろしいことこの上ない。味方につけば頼もしいけれど、敵になると恐ろしいとは、このことか。3巻では、いよいよアレスとジェレイドが相対するらしいので、今から楽しみ。
読了日:09月18日 著者:師走 トオル
火の国、風の国物語3  星火燎原 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語3 星火燎原 (富士見ファンタジア文庫)
解放軍の成り立ちをジェレイドがアレスに語る巻。次から次へと降り掛かってくる火の粉を、智将ジェレイドが策を持って退けていくのだけれど、今ひとつ爽快感に欠けるような。もう少し、快勝してくれると嬉しい。また、本シリーズに短編から触れたひとは長編の1巻を読んで驚くだろうし、1巻から順番に読み進めた人は、ディオールの活躍に思わず涙を誘われると思う。それにしても、ミーアの登場タイミングは絶妙過ぎる。まさに白馬に乗った騎士じゃないかしら。
読了日:09月22日 著者:師走 トオル
群青学舎 一巻 (ビームコミックス)群青学舎 一巻 (ビームコミックス)
1巻を読んで、非常に面白かったので全巻揃えたまでは良かったのだが、1年近く積んでしまったので、もう一度、1巻からスタートを切ることに。「異界の窓」「森へ」のような作品も好きだけれど、やはりストレートに恋愛を描いた「とりこの姫」「白い火」「アルベルティーナ」の方が好み。後、地味に気に入っているのは「花と騎士」。結論としては、どの話も面白く、完全に秋山得である。
読了日:09月23日 著者:入江 亜季
群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)
うひー、面白かったー! 最初に目次を見たときは「北の十剣」が中編くらいの分量を持っていて、相対的に短編が少なくてしょんぼりだったけれど、いやあ、面白かった! 特に、建設中だった建物の正体が明かされたときは、内心で喝采だった。この手のファンタジィでは、これと後は歴史書という概念が加わると、俄然、厚みを増すように思う。後は「続ピンク・チョコレート」まさか、こんな風に続くとは、思いもしなかった!
読了日:09月23日 著者:入江 亜季
群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)
うむ、素晴らしい。特に気に入ったのは「雪降り積もる」かな。学生の頃から友達だった女子4人が、毎年、年越しを古アパートのコタツで過ごすというシチュエーションは、なんだかとても快適。後、コートの下が水着って、どういうことなの……? 長めの作品だった「待宵姫は籠の中」も良かった。強盗団の親分と異国の姫君という関係性が、実にキュート。最初は高嶺の花だった姫が、どんどん泥臭い土の空気に呑まれて、活き活きとしてくるのが良い。
読了日:09月23日 著者:入江 亜季
群青学舎 四巻 (BEAM COMIX)群青学舎 四巻 (BEAM COMIX)
あー……終わってしまった。「七色トゥモロー」の最終ページでは思わず涙腺決壊だったし、「本日はお日柄も良く」は最初の百合百合しい感じからは想像もつかないほど硬派な展開で、卒業おめでとうのシーンには思わず鳥肌が立った。しかし、何と言っても、全4巻の登場人物が代わる代わる登場する「四季」こそ至上。どの人物も特徴付けがしっかりされているので、1コマしか描かれてなくても「あ、あのときのキャラだ! 笑顔だ! 良かったねえ」という気分になる。うーむ、感動であった。良い作品を読んだ。
読了日:09月23日 著者:入江 亜季
展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫JA)展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫JA)
いっそ、グロテスクなほどであった。幻想的ではないけれど、格調高い文体は、過剰に装飾されていて、あらゆる少女性に通じるフェティシズムが理性が異様さを訴えるほどに拡張されていた。劇中で取り上げられている要素のひとつひとつが、そして破滅的な結末まで含めて、少女及び少女的なるものを究極まで突き詰めたものであるかのように感じた。残念ながら共感は覚えなかったが、作者が自分の内にあるものを限界まで引っ張り出したのであろう気迫は感じ、面白く読むことが出来た。
読了日:09月23日 著者:瑞智 士記
僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)
設定が非常に秀逸で、最初の掴みは抜群なのだけれど、ワンアイデアに過ぎていて、ストーリーテリングが欠けるため、牽引力不足で半ばを過ぎた頃から、読むのが退屈になってきた。終盤、そろそろ終わってしまうのに、解決を見ないでいるから、どう決着をつけるのかと思いきや、まさかの展開で驚いた。まあ、読めて良かったということにしておこう。
読了日:09月24日 著者:かじいたかし
火の国、風の国物語4  暗中飛躍 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語4 暗中飛躍 (富士見ファンタジア文庫)
久々にアレスが主人公らしい巻。しかし、敵視点でアレスを見ると、ほんとうに悪魔が憑いているようで仕方ない。実際、憑いているわけだが……。という視点で見ると、実は、アレスは、そんなに強くないんじゃないかしら。もちろん、アレス本来の強さはあるかもしれないけれど、それ以上にパンドラの助言が、あまりに大きすぎるような気がする。
読了日:09月27日 著者:師走 トオル
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
最高に面白かった。文法、世界観、登場人物、未来観、登場人物、思想。もう全てが最高に好みであったの一言。こんなにも現実と地続きになっているディストピアが存在しようとは。凄まじい感動と共に読み終えて解説を読んで、本書が病床にて書かれたことを知り、思わず涙しそうになった。闘病生活の中で、本書が書けるだなんて、いかなる精神力・希望だろうか。今さらながら、伊藤計劃の新作がもう読めないことを知ると、実に胸が締め付けられる。
読了日:09月27日 著者:伊藤 計劃
奥ノ細道・オブ・ザ・デッド (スマッシュ文庫)奥ノ細道・オブ・ザ・デッド (スマッシュ文庫)
江戸の町に溢れかえる、おどろ歩きする屍僕の正体を探るべく、忍びの松尾芭蕉曽良を伴って奥の細道の旅路を行く。というあらすじを聞いて、てっきり、やたらめったら強い芭蕉が、ばったばったと腐ったゾンビを斬り倒す話かと思いきや、腐女子的な意味で腐っていて驚きました。まさか表紙の少女が、女装した曽良だとは……。と、いきなりイロモノで驚きましたが「もう駄目、死むる……」と、すぐに絶体絶命に陥る曽良や、ゾンビたちのただ中で、風流に心を囚われて俳句を詠み「あや解き終り」と呟く芭蕉は、格好良くなくもなかったです。
読了日:09月28日 著者:森 晶麿
火の国、風の国物語5  王女勇躍 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語5 王女勇躍 (富士見ファンタジア文庫)
ようやくクラウディア王女の真価が明らかにされるのかと思いきや、回想がどんどん挿入され、焦らされること焦らされること……。それだけに、王女の目的地が明かされた後の展開は白熱だった。特に、クラウディアとジェレイドの対面には、思わず冷や汗が流れる展開。しっかし、ジェレイドも大変やねー。こっちにはミーアしかいないのに、向こうにはアレスもクラウディアもいて不公平だと、ぼやくシーンが特に好き。
読了日:09月29日 著者:師走 トオル

2011年9月の読書メーターまとめ詳細
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