雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

『幻視コレクション 失われた一葉の架空』アフターレポート(その2)

 アフターレポート第2弾です。
 予告通り、言村律広「残った夏」……と一緒に高村暦「invisible faces」についても語ります。

「残った夏」について

 最初に構想と言うか、書くにあたってのメモを見せてもらったときは驚きました。ミステリ、SF、ファンタジー、幻想、怪奇、そして歴史小説と相撲。各ジャンル小説の定義や条件、それらがもたらす面白さや楽しさと言ったものが、言村さんの言葉で綴られていたのです。
 真っ先に感じたのは「これがすべて矛盾なく有機的に盛り込まれたら、間違いなく素晴らしい大傑作になるぞ」という予感でしたが、同時に「意欲的ではあるが、難易度は極めて高いし、なにより50枚という制限が枷になる。最終的に、どっちつかずになった場合は目も当てられない」と危惧もしました。言村さんには、正直のこのことを伝え、全体を縮小させ、50枚という範囲内で、すべてを盛り込むか、焦点を絞り、それを拡大すべきではないかという話をしました。
 言村さんの最終的な選択については、読んでいただければと思いますが、その際に、こういう挑戦意識があったのだということを念頭に置いておくと、より深みが増すのではないでしょうか。

「invisible faces」について

 難産でしたねえ。
 直接的な関係性はありませんが、本作に登場する一部人物が、高村さんの過去作品にも登場するということで、事前に、そちらの作品も読ませていただきました。その作品を踏まえたり、踏まえなかったりしたアドバイスをして、書き直しや、書き加えを始めてもらったのが9月の中旬。そこから約1ヶ月、数え切れないほど原稿をやりとりしました。
 以前、ランチミーティングのレポートの際に「結末に関しては、大きく二通り考えられているそうで、書き進めつつ着地をどうするか決められるそうです」と書きましたが、おそらく掲載に至った最終稿において描かれたのは、この時点で高村さんが考えていた二通りの結末の、どちらでもなかっただろうなと思います。高村さん自身が思いついたのか、あるいは秋山の言葉に触発されて思いついたのか、作品は何度も、全編にわたって手が加えられました。冒頭部分がいきなり書き加えられたことも、中盤にいきなりエピソードが追加されたことも、結末が付け加えられたこともありました。
 新たな章が加わることで、全体の様相は、ガラリと変わり、秋山は、その変化に驚きました。これが入るだけで、これだけ読み手が受ける印象は変わるものなのかと。その印象を自分は素直に伝え「でも、こうした方が良いのではないか」みたいなことを言ったりしました。
 正直、この変化をお見せ出来ないのは悲しいことですが、そういった挑戦が背景としてあったことを知っていただくだけでも、この作品の「面白さ」が、もう少し膨らむのではないでしょうか。

言村さんによる自作解題

 言村さんがTwitterで「残った夏」の解題を行っていたので、本エントリは、一連の解題postの紹介を以っておしまいとさせていただきます。
 一部……と言うか、かなりネタバレが含まれるので気になる方は回れ右でお願いします。
 では、どうぞ。