雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

少年ジャンプ+発の近未来ミステリー『誰が賢者を殺したか?』の着地が残念

 少年ジャンプ+連載グランプリの第1回グランプリを受賞し、連載の始まった『誰が賢者を殺したか?』が、約1年の連載を経て完結したのですが……その着地が今ひとつなところで残念です。
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 舞台は近未来のアメリカ合衆国。
 特別なデバイス類を装備せずとも拡張現実を知覚できるようになった人々が暮らしている時代。主人公は近代技術を否定するアーミッシュの少女で、誰も彼もが拡張現実を当たり前の日常として受け取っている日常において、それらを享受せずに生きています。
 物語はそんな少女の父親の葬儀から始まります。つつがなく葬儀が終わろうとしたとき、FBIが現れ、少女の父親が、かつてサイバーテロ「魔王事件」を解決したハッカー集団のひとり、通称賢者ダーゲンハイムであり、彼の死は事故ではなく、殺人であると告げます。


 どうです、このオープニング?
 ワクワクしません?


 物語はこの後、主人公の少女を中心に進むのですが、拡張現実を知覚できない彼女だからこそ推理の糸口を見つけることができて、その格差が面白いです。
 また、展開もけっこう派手で、魅力的な人物が出てきたと思ったら実は……という展開が多く、底の見えない暗闇に向かって転がり落ちるような怒涛の展開が続き、毎回、引きが魅力的でした。



 それ故に、でしょうか。
 おそらく風呂敷を広げすぎてしまった、と言うことなんでしょうね。


 や、終盤までは、ほんとうに面白かったんですよ。
 黒幕も、良しとしましょう。
 しかしながら、黒幕の動機や、幕の下ろし方が、いかんともしがたく……。
 言うなれば傑作になりそこねた佳作、でしょうか。うーん、残念です。

誰が賢者を殺したか? 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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追記

 3巻は表紙が、めっちゃいいですね。めっちゃいい。

誰が賢者を殺したか? 3 (ジャンプコミックス)

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