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大塚英志『物語の体操』第3講 方程式でプロットがみるみる作れる

 第2講では「英雄神話」にこだわっていましたが、今回はもう少し視野を広げ「クエスト」的な小説のプロットを狙っているようです。色々と前口上が長かったのですが、冒険小説&探偵小説に代表される作品には、共通してみられる行為者モデルというものがあり、それが今回の論点のようです。これです、

1 主体  探偵と助手、あるいは勇者及び勇者のパーティのメンバー。
2 援助者 冒険小説の場合はアイテム、探偵小説の場合は情報を与えてくれるなど、特定のイベントにのみ登場する人物。
3 敵対者 主人公の目的を妨害する人。
4 送り手 主人公にクエストや事件の依頼をする人。
5 対象  クエストや事件において主人公が捜す対象。
6 受け手 対象を送り届ける相手。お姫さまと主人公が結婚する場合は1の人物と兼ねる。探偵小説の場合4と一致することも多い。

 これがプロットをみるみる作れるらしい方程式です。勿論、これ単体では作用せず、この他に氏が用意したキャラシートと『黒鷺死体宅急便』のレジュメがあります。これは死体と話ができるイタコ、死体の位置をダウジングで見つけだすダウザーなどが活躍する話で、レジュメにはテレビドラマやシリーズ物の小説で言う第1話が書かれています。そして第3講での課題は、行為者モデルにこのキャラシートとレジュメを加え、第2話を作ってみましょうという風に話が繋がってきます。
 キャラシートとレジュメの内容をもう少し詳しく書いておこう。キャラシートに用意されている人物は5人。死体と話ができるイタコ・ダウジングで死体を発見できるダウザー・死体に化粧や復元修理ができるエンバーマー・死体サイトを開いているハッカー・宇宙人と交信できるチャネラー。氏が用意した第1話の内容は、富士樹海で変死体を捜すボランティアをしていた唐津と沼田は、それぞれイタコとしての能力とダウジング能力があることを知ってしまう。そしてある日、沼田が発見した死体から、唐津は自分の遺体をある男に届けて欲しいと頼まれる。実はそのある男こそが、死体を殺した犯人であり、無事に依頼を達成した2人は死体が生前に残した金を手に入れる。死体配達に味をしめた2人は、有限会社黒鷺宅配便を設立、死体専門宅配便業者として営業を開始すると言った感じ。短くまとめるつもりが、ついつい長く。なんだかんだ言って、氏が作る物語は密度が濃く、レベルが高い。
 先ほどの行為者モデルと、氏が用意した物語を組み合わせると、こうなる、

1 主体  キャラ表にある唐津九郎以下のメンバー。
2 援助者 キャラ表のメンバー以外に事件を解決することに手を貸してくれる人物。
3 敵対者 事件を解決するのを妨害する人。
4 送り手 死体の残留思念。
5 対象  死体。
6 受け手 死体を送り届ける相手。

 となっており、この構図を考慮に入れた上で、課題をやれとのことです。


 さて、課題の方ですが、折角ですから1クール分考えてみようかなと計画しています。第1話は氏が既に書いてしまったので、第2話から第12話まで。最終話とその一つ前は続き物にしようかなと思っているので、実際は10話分のプロットを用意する予定。
 ところで、エンバーマーって何なんでしょう? 辞書引いても載ってないんだが、オカルト系の言葉なのかな。