雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

火曜日不死

 文学フリマの話、まだまだするよ。
 佐藤心氏とループ物について語っていたとき、コンシューマのゲームで『美少女ゲームの臨界点』の「美少女ゲームパーフェクトマップ」にも載せたあるゲームがループ物というジャンルの中では一番だと言われた。題名が横文字だったので、帰宅後に調べればいいかと思い、書を紐解いたのだがそれらしいのは『CROSS†CHANNEL』の左下にある『Forest Remember11』しかない。しかしこれでググってもそれらしいページは出てこないし……困った。死活問題だ。って、違うよ!!『Forest Remember11』じゃなくて、『Forest』と『Remember11』じゃねえか。前者は鞘刀さん*1推奨で、後者は『EVER17』の前作的ゲームだ。これは勧められるのも道理だ。
『暗黙の領界』を読んで久々に「新伝綺」「オタク」という言葉を見たのだけれど、懐かしさを感じてしまった。実際、文学フリマに接した人間として「新伝綺」は、完全に「セカイ系」というフレーズに負けた感があるのではないだろうか。懐かしいで言えば萌えるか萌えないか、も。これに関しては佐藤心氏が、とても説得力のある説明を実体験を通して教えてくれたのだけれど、あまり佐藤心氏の話ばかりするのもなあ。アウトプットするのが惜しい。――長年「萌えなんて存在しない」とか「萌えなんて理解できない」と言っているが、最近あんまり信じられてないようなのでそろそろ言っていいかもしれないが、西尾維新きみとぼくの壊れた世界』に三つ星をつけたのは、やっぱり萌えが大きい。
 第三回文学フリマで創刊を迎えた雑誌、あるいは雑誌風の同人誌を把握している限りリストアップ。

A-01【フラットベッド】Re.PLAY
A-15*2【ヘリオテロリズム】ヘリオテロリズム
A-32*3文章力向上委員会】十二ヶ月
A-39*4【ソラミミ】ソラミミ
A-78*5【文藝サークル無頼舎「零文学」】零文学
A-80*6【作家たちの夢束】作家達の夢束
A-82*7活字中毒委員会】回廊お試し本
B-03*8【MJ-12】Majestic-12
B-12【コンラッドコンラッド
B-19*9【幻視社】幻視社(正確には準備号)
B-24*10中央大学詩友会】空中散歩
B-39*11【CutePlus】Natural Color Paranoia(正確には第一号分を含む第二号)

 全体として創刊号という名称や、創刊という言葉を使わずに、ただ漠然とVol.1やNo.1とつけているのが目立ったような気がします。
 以下、作品寸評。

街角闘人・藤代美代子『暗黙の領界』小説「ワスレモノ」これは、中々いいと思う。途中で「きみぼく」とか「セカイ系」とか言い出して自覚的なところを見せなければ、真っ当なセカイ系として良質のものとなったのではないだろうか。論考「何故、萌えミステリ往復書簡は竜頭蛇尾に終わったのか?」タイトル長いな。冒頭でいきなり製本版を読んでないと暴露しているので言っておくが、古井さんのセンス炸裂なデザインと、滅・こぉるさんの川柳は、かなりの価値がある。後、2ちゃんとかテキストサイトとかで叩かれている部分はチェックしておくべきでしたね。
杉本琢磨・高杉晋太郎『超短編マッチ箱 Vol1,2,3』超短編界隈の方々によるアンソロジィ。いっぱいあるので気に入ったものにだけ。松本楽志「ぱらでぃもん」とても端正。子供らしい世界が形成され破壊される様が、とてもきれいに描かれていると思う。川崎隆章「酒に罪なし」超短編でなくコラムだけど。とても良い。と言うか秋山は酒に関するコラムであれば、どんなものでも良いと言ってしまう人間だった。タカスギシンタロ「未来のある日」傑作。とても詩的、森博嗣が書いたと言われたら信じるだろう。ファンになりました。みねぎし「学級会」思わず笑った、なるほど学級会だ。春都「初恋」切ない。思わずぽろりと涙を誘う切なさだ、これは。切れ味鋭い。宮田真司「少年と海」題名と冒頭の硬派さが、どんどんメルヘンになっていて、最後には過不足なく解明される。素晴らしい。
タカスギシンタロ『タカスギシンタロ 超短編集』その名の通りタカスギシンタロさんの作品集。ちなみにタカスギシンタロと打つとカタカナで変換されるが高杉晋太郎と打つと漢字になる。全体的に百文字にも満たない短いものが多く、イラストを視界に入れつつ文章を読むことで、その真価は発揮される。「インクフィッシュ」冒頭を飾るに相応しいスタイリッシュでドリーミングな超短編。「シーツ」泣ける。シーツ一枚とても薄いけれど、永遠の距離。「朝の冷気はひげ面の男二人をくるくる回す」これも泣けるなと思ってタイトルを見てみたら、あまりの男くささに愕然とした。てっきり「出会い頭の恋」とか、そんなラブリィなのを想像していたのに、まさか「ひげ面」と来るとは……。
MIDNIGHT短編小説倶楽部*12『みっどないと 特別版』てっきりこれも500文字の心臓に関連する人の作かと思ったら、知らない人が書いていて驚いた。委託だったのだろうか。全体的に読み続けるのが苦痛になるような作品が目に付いたが、最後に驚かせるには必要な儀式。ジレンマでもある。「料理」時間物であるという理由だけで気に入った。三回読み直した。「新人」少し古い言葉を使えば夏目漱石=勝ち組、ってやつだな。「夜」読みづらいけれど最後の二行が凄まじい作品の典型。完全である。「祝福」素晴らしい。作品その物も素晴らしいが、作品内で奏でられるハーモニーもさぞや素晴らしいものだろう。