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愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)

 舞城に引き続きブローティガンを読むと、何故だか、この世の色々なものが愛おしく思う。
 読んでいる間に感じたのは、男性的な包容力。包み込むような優しさや暖かさ、穏やかさを感じたのだが、それは母性的であったり女性的であったりするものではなく、もっと朴訥としていて、ときにぎこちなく、でもそれ故にやさしいもの。訳者あとがきでは、文体がかもし出す感覚的な柔らかみという意味で官能的だと評されていた。なるほどと感銘を受けた次第。
 リチャード・ブローティガンという作家を知ったのは、中央大学学術連盟文学会が主催した仲俣暁生氏の講演会の最後の質疑応答のとき。ある女子大生がブローティガンを卒論で取り扱おうとして云々と言っていて、そのときのやり取りが興味深かったので帰宅後に検索し、実際に読んでみたのだ。