雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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Q&A

Q&A

 東京郊外の大型商業施設で発生したとある事故(事件?)を巡る質疑応答集。質問とそれに対する答え、つまり会話だけで構成されているような小説。「これぞ小説! 質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ。謎が謎を呼ぶ〈恩田陸ワールド〉の真骨頂。」と壮大な売り文句が帯に書かれていて、逃げ惑う人々のイラストと共に目を引く。ネットに目を転じたら、抜群の宣伝効果により多くの人が手に取ったらしいが、結末に不満という声が一様にして見受けられた。しかし、会話の中に謎が生まれたり、その場の場景が想像できたり、読んでいる間は楽しめるだろうと判断して最後まで読んでみた。
 結論として、この結末で良かった。読み始める前は、ひとりの人物に対しインタビューをするだけだと思っていたが、実際は複数の人にインタビューをしていたし、インタビュー以外のQ&Aも後半になるにつれ増えていった。中盤まで読んでいて感じたのは、これが戸梶圭太のように悪趣味な笑いや悪意を描いたものではないかという嫌な予感。幸い、この予感は外れた。悪趣味であることには変わりないが、悪意はなかったというように思う。また、そうでなくともこの結末は、この質問と答えを取り扱った作品に相応しいように思う。会話文だけしかないという、不自然な形式が、最後の最後で生まれる物語に絶妙に絡み付いている。