- 作者: 扇智史,ワダアルコ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/02/27
- メディア: 文庫
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センスのいい表紙に、扇情的な口絵。女子高生と殺人鬼。出だしは最高に良かった。初期のブギーポップを感じさせる不安感や、社会に対する不満。上遠野浩平の直系というフレーズを思いつき、傑作を予感させる筆致には目眩すら感じた。脳裏の何処かで警鐘が鳴ったのは32ページで、予感が確信に変わったのは36ページ。ああ、実にくだらないかもしれない。エヴァを引用され、月姫を引用され、様々なアニメやゲームの名科白やキャラクタの名前が脈絡なく引用され、挙句の果てにブギーポップを引用された程度のことで本書を見限っただなんて。しかし、いや、やはりこの手の引用は好きになれない。それなりに重要な場面において、どうして著者オリジナルの言葉ではなく、他の作品からの引用を使えてしまえるのだろうか。この作品や作者のルーツを知らされて、読者が共感するとでも著者は思ったのだろうか。そういう人もいるかもしれない……が、秋山の場合、一気に醒めた。物語世界から強制的に弾き出されて、本書がフィクションであることを、秋山と同じようなアニメやゲームを経た作者がいることを、そういったことを知らされて、醒めた。かーっ、話自体は面白かったのに、くだらない読書体験をしてしまった。この秋山も全く持って、まだまだだなあ。