雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

1124『未来日記 1』

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

未来日記 (1) (角川コミックス・エース (KCA129-5))

 時空王「デウス・エクス・マキナ」は全ての時と空間を管理する神で、そして主人公である天野雪輝の妄想の産物だ。無差別に「時間」と「場所」と「おきた事」を日記というかたちで記録することだけが趣味の主人公のケータイに、時空王は九十日先までの未来が書き込まれるという機能を与えた。未来日記を得た主人公は、それを使い日々を謳歌するが、ある日、ケータイの画面が乱れ、それまで表示されていなかった未来が表示される。

18:21[ビル内]
通り魔に追いつめられ
僕は殺される。
DEAD END

 たまにもゆるのきろうさんが熱烈に紹介していたので、遅ればせながら読んでみたが……ファウスト世代ジャストミートと言える傑作。雲上四季が小説だけでなく漫画も本格的に取り扱っている書評サイトであれば、確実に傑作選入りしていた。
 魅力的だったのは主人公のどうしようもない弱さだ。傍観者であろうとしていた主人公は、無差別に周囲のことを記録しており、そのお蔭で全部で十二ある未来日記の中で最多の情報量を誇る「無差別日記」を手に入れる。しかし「無差別日記」には主人公に関する情報が全く記載されておらず、未来日記を所持しているもの同士の戦闘においては実に無力。そこで出てくるのが主人公を狂愛している我妻由乃。なんと彼女は天野雪輝のストーカーで、主人公の未来が十分おきに綴られている、その名も「雪輝日記」を持っているのだ。主人公は彼女のストーカーぶりを危険視しつつも、その献身的な協力を得るために利用、してしまう。そう、ここらへんのエゴイズムが実にファウストっぽいのだ。後、『ジョジョ』を思わせる頭脳戦。
 ううん、これだけ語っても本書の魅力はまだ片鱗しか伝えられていない気がする。秋山の同年代には是非とも読んでもらいたい。