雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

オンライン文芸マガジン『回廊』とは(1)

 オンライン文芸マガジン『回廊』というのをやっています。
 一昨年の四月に創刊号を発行して以来、年に三回というペースで発行しつづけているアマチュア文芸誌です。今日はいつも雲上四季をご覧いただいている方に『回廊』の説明をしようと思います。
『回廊』は無料で閲覧およびダウンロードできる雑誌で、バックナンバーはすべて公式サイトで公開されています。連載小説なども用意していますが、メインは、特集や読切短編小説なので、最新号から読んでいただいてなんの問題もありません。今でしたら「祭」というテーマで組んだ特集のある第八号が最新号となっています。各小説作品には、イラストレーターさんやデザインさんがつき、扉絵がついています。まずはこの扉絵を見ていただいて、冒頭を数行読んでいただいて、面白ければ最後まで読む。という段取りが良いと思います。
『回廊』は文芸と名乗ってはいますが、文学的な作品はあまり多くなく、割り合いで言えば青春小説と幻想小説が一番、多いです。SFなどもあります。逆にいわゆるライトノベル的な作品やミステリは少数派でしょう。
 また『回廊』超短編にも力を入れています。超短編と言えば代表的なサイトに500文字の心臓がありますが、『回廊』は500文字の心臓と共同で特集を組んだり、まあ、いい感じに影響したりしながら作っていっています。超短編は五百文字以内で書かれる作品なので、すぐに読み終わります。手前味噌ですが、第七号に書いた秋山の作品を一編、紹介したいと思います。

『SHAPES OF ROCK』
 開店して間もなく彼女は訪れる。
 時間になると扉が開いて、くるくると踊りながら出てくる人形のように、彼女はふくらませたスカートを、店のあちこちにぶつけながら商品を見て回る。ぼくは彼女の後ろをそっと追いながら、落ちたり転がったりしてしまった商品を、元の位置に戻してゆく。いつも通り、決まった道筋を歩き終えると、彼女はレジのそばにある棚から、ぼくが河原で拾ってきた石ころを取り上げる。
「五円です」
 ハンドバッグから財布を取り出し、財布から五円を取り出し、彼女は静かな仕草で硬貨をぼくに手渡す。まるで先ほど作ったばかりのように、その五円は鋭く輝いている。
「ありがとうございました」
 ぼくが頭を下げると、彼女は石ころを財布にしまい、財布をハンドバッグにしまい店を出る。
 扉が閉じるのを確認し、ぼくは店を閉め、河原へと石ころを拾いにゆく。
『賽の河原』364文字

 いかがでしょうか。最後の一行を読んでゾッとしていただけたら作者冥利に尽きます。
 まあ、こんな感じで『回廊』では小説と超短編、後はコラムをやっています。
 で、どうしていきなり『回廊』の説明を始めたのかというと、第九号が来月十五日に発行されるからです。既に公式サイトでは第九号の表紙を公開しており、雲上四季でもヘッダー部分にてバナーを張っています。あ、そうそう、このバナーですが、定期的に画像を変更しますので、直リンクを張っていただきますとたまに画像が変わります。今回は十個以上、用意していますので楽しんでいただけること請け負いです。詳しくは、公式をご覧ください。
 と言うわけで、今日から何回かに分けて『回廊』の説明を行いたいと思います。よろしくお付き合いください。