ミステリあれやこれやさんが本格ミステリ・ベスト10の上位20作を予想していたので、秋山も予想してみました。
順位 | 著者名 | 題名 |
---|---|---|
1 | 有栖川有栖 | 女王国の城 |
2 | 三津田信三 | 首無の如き祟るもの |
3 | 山沢晴雄 | 離れた家 山沢晴雄傑作集 |
4 | 米澤穂信 | インシテミル |
5 | 柄刀一 | 密室キングダム |
6 | 道尾秀介 | 片眼の猿 |
7 | 石持浅海 | 心臓と左手 |
8 | 近藤史恵 | サクリファイス |
9 | 歌野晶午 | 密室殺人ゲーム王手飛車取り |
10 | 石崎幸二 | 首鳴き鬼の島 |
11 | 西澤保彦 | 収穫祭 |
12 | 北山猛邦 | 少年検閲官 |
13 | 倉阪鬼一郎 | 四神金赤館銀青館不可能殺人 |
14 | 詠坂雄二 | リロ・グラ・シスタ |
15 | 柳広司 | 百万のマルコ |
16 | 貫井徳郎 | 夜想 |
17 | 愛川晶 | 道具屋殺人事件 |
18 | 鳥飼否宇 | 異界 |
19 | 霞流一 | 夕陽はかえる |
20 | 関田涙 | 晩餐は「檻」のなかで |
未読の本に関しては、小耳に挟んだ評判に従いつつ入れてみました。また、一作家一作品という縛りを設けてみたのですが、実際には二作も三作もランクインする可能性があるので、米澤穂信『遠まわりする雛』、道尾秀介『ソロモンの犬』、石持浅海『人柱はミイラと出会う』『Rのつく月には気をつけよう』なども充分に有力な候補だと思われます*1。また、新人からは詠坂雄二しか入れませんでしたが、古野まほろ『天帝のはしたなき果実』、深水黎一郎『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』、秋梨惟喬『もろこし銀侠伝』、滝田務雄『田舎の刑事の趣味とお仕事』も可能性としては充分ありえるでしょう。
次点としては島田荘司『リベルタスの寓話』、蒼井上鷹『ハンプティ・ダンプティは塀の中』『俺が俺に殺されて』、霧舎巧『新本格もどき』、そして……田代裕彦『赤石沢教室の実験』ですね。
以前、ラノベから一般文芸に越境することというエントリを書きました。
特に田代裕彦『赤石沢教室の実験』なんですけれど、この本、ミステリ棚に並べられているのですよね。つまり、ハードカバーで出したにも関わらず「一般文芸」への進出が図れていない訳なんですが、これは逆に興味深いかな、と。つまり、今までの電撃がハードカバーで出してきた作品は、男性作家棚や女性作家棚以外に埋もれさせるしかないようなものだったのですが、『赤石沢教室の実験』はミステリ棚で活躍できる可能性が残されています。
もし、この本が『このミステリーがすごい!』などで注目を浴びれば、乙一が『GOTH』を経由して有名になったように、桜庭一樹が『少女には向かない職業』と『ブルースカイ』を経由して有名になったように、田代裕彦もまた「一般文芸」に華々しく登場することが可能なのではないかなあ、と。
『赤石沢教室の実験』がこのミスや本ミスで、どこまで健闘できるかは注目していますし、期待もしています。けれど、今年はすでにある程度の知名度を持っている中堅作家の佳作以上の作品が多いので、それらを相手に、実質的に本格ミステリにおいて無名に等しい田代裕彦がどこまで戦えるかとなると疑問が持たれます。頑張ってもらいたいですけどね。『赤石沢教室の実験』が注目を浴びれば、Style-Fもより活発に本が出せるでしょうし*2。

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ちなみに、このミステリーがすごい! の方は見当もつきません。宮部みゆき『楽園』、雫井脩介『ビター・ブラッド』、今野敏『果断 隠蔽捜査 2』、佐々木譲『警官の血』あたりが上位ですかね。後はうえのリストに加えて、思いつくままに挙げるなら、恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』、東野圭吾『夜明けの街で』、桜庭一樹『青年のための読書クラブ』、西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』、平山夢明『ミサイルマン』、京極夏彦『前巷説百物語』、大沢在昌『影絵の騎士』、横山秀夫『看守眼』とか……かな。ほとんど読んでいませんけれど。
まあ、でも、何だかんだ言って今年の見所は、ずばり三津田信三『首無の如き祟るもの』がどこまで戦えるかってところでしょうね。このミス、本ミス、文春ミス、読みたい、本格ミステリ大賞と最大で五冠まで狙える傑作だと思いますけれど有栖川有栖と宮部みゆきは強敵ですからね。頑張ってもらいたいものです。

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