毎週日曜日の朝、NHK短歌という番組が放映されているのですが、今週のゲストは佐藤弓生でした。
番組の中、興味深いシーンがありました。「最近はどういったお仕事をされているのですか」という質問に「怪談の雑誌で、短歌を紹介しているのですが、短歌を読み替えてお話をつけています」というようなことをお答えされていたのです。まあ、立ち位置の問題なのですが、どちらかと言えば小説読みの秋山からすると、『幽』に連載されている「短歌百物語」における短歌は、佐藤弓生が創作の着想に使った程度のものでした。短歌があって、そこから物語を連想し、それを小説にする。つまり、短歌それ自体は、あくまで契機に過ぎず、小説こそがメイン……と、そんなふうに考えていました。
が、視点を転じれば、この「短歌百物語」の主は、あくまで短歌の方であり、創作パートは、短歌の三十一文字にせかいを見出すことのできない読み手に対する補佐の文章に過ぎないのかもしれません。と言うか、改めて誌面を見てみると、短歌に使われている文字の方が小説と比較して、サイズが圧倒的に大きいので、むしろ短歌がメインだと考えた方が自然であることが分かります。文芸のせかいの、いと奥深きことよ。
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今週、木曜日の早朝に再放送がありますので、興味のある方は是非。
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