雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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第2回「古代ローマの新しいテトラデカスロン」レポート

 クニツィアがデザインした『古代ローマの新しいゲーム』は、複数のボードとコマ、カードから構成されたセットで、それらのセットを組み合わせることで、14種のゲームが遊べるという非常にお得なボードゲームです。
 昨年末にニューゲームズオーダーさんが日本語版を再販しましたが、元々は1994年にリリースされたもので、クニツィアの、かなり根源的なデザインが注ぎ込まれています。14種も遊べて5000円くらいで購入できるので、極めてお買い得です。秋山の周辺でも、買ってみたという方が多かったのですが、さすがに14種もあると遊ぶ機会が逆に設けにくく、積んでしまっているという声を多く聞きました。
 そんな中、けがわさんが「古代ローマの新しいテトラデカスロン 2013.03.17」という、14種を、一気に全部、遊ぶという企画のレポートを書かれていて、是非とお願いして第2回を開催して頂きました。
 けがわさんの「古代ローマの新しいテトラデカスロン 2013.04.30」を見ると、まるで秋山が主催のようですが、秋山は場所を抑えて、参加者を募って、ゲーム本体を集めただけで、当日の運営やインストは、ほぼ全てけがわさんが自力で行なっていました。事実上、けがわさんが主催と言っても過言ではないでしょう。
 ちなみに、けがわさんのレポートにもありますが『古代ローマの新しいゲーム』に収録されているゲームの数々は、後にクニツィア自身の手によってリメイクされています。英語のページとなりますが「古代ローマのより新しいゲーム」に網羅されていますので、気になった方は確認あれ。
 さて。前置きが長くなりましたが、以下、遊んだ14作の感想です。

歴史の糸車


 第1種目は、最初だけランダムで、後は完全情報なゲームです。
 誰かと組んでWin-Winの関係を築くか、他の全員が牽制しあっている隙をついて、大量に得点を得るかの二択かなと感じました。基本的には談合とゲームと言えます。
 計4ディール遊びましたが、第3ディールにおいて10点獲得できたので、後は2位の方との点差を考えつつ、3位のひとと協力しながら展開させてみました。
(秋山18点、熊本城さん16点、G2さん9点、ぢ〜ぷさん-3点)

ローマ七丘


 第2種目は『バトルライン』をシンプルにしたような2人対戦ゲーム。
 7つの丘を舞台に、カードを配備し、数字比べを行います。これは、中々、面白いですね。すべてのカードが手元にあるという点において、『バトルライン』にあったランダム性がなくなっており、個人的には、こちらの方が好みかもしれません。
 先攻後攻を交換しつつ、3人と計6戦しました。
 バリケードのヴァリアントも面白いらしいので、機会があれば、そちらも試してみたいですね。
(第1戦:秋山15-熊本城さん13)
(第2戦:秋山13-熊本城さん12)
(第3戦:秋山16-クロマさん11)
(第4戦:秋山15-クロマさん13)
(第5戦:秋山14-BakaFireさん13)
(第6戦:BakaFireさん17-秋山10)

執政官


 第3種目は、競りと神経衰弱を組み合わせたようなゲームでした。
 基本的には盤面の伏せられた情報を記憶しつつ、競りを行ったり、自分のカードを計画的に放出していっては回収するというゲームでしょうが、いかんせん記憶力には自信がないので苦手なゲームです。試みは面白いと思いますし、ゲームとしては挑戦的ですが、ノット・フォー・ミーですね。
(ぢ〜ぷさん25点、けがわさん12点、秋山10点、BakaFireさん0点)

元老院議員


 第4種目は、再び2人対戦のアブストラクト。
 盤面に自分のカードを押しこみ、相手のカードを押し出すような「iPhoneアプリでやれ!」と言わんばかりのゲームでした。非常に面白いですね。繰り返し遊んでいけば、最適解が見いだせそうですが、どうなのでしょうか。あまり深いことは考えず、感覚で遊んでいくのが楽しいように思います。
(第1戦:秋山38-さたもとさん34)
(第2戦:秋山37-さたもとさん27)
(第3戦:秋山32-熊本城さん18)
(第4戦:秋山34-熊本城さん26)
(第5戦:秋山35-けがわさん34)
(第6戦:秋山36-けがわさん19)

ハンニバル対ローマ


 第5種目も2人対戦ゲームでした。
 けがわさんのプレイレポートに良く出てくるゲームだったので、楽しみでしたが、完全に苦手なゲームでした。
 5枚の手札でやりくりするというのは、非常に面白い試みです。必然的に負けなければならない場面が出てくるので、どこで上手に勝って、どこで上手に敗けるかがポイントになるのでしょう。しかし、肝心の、その選択が、完全に読み合い以外の何物でもないというが好みから外れる理由になります。
 わりと、たった一度の敗北で、以降の3戦が、すべて負け戦になることが確定したりして、そうなると挽回できないのがきついです。向こうは、ここに注力してるから、こっちの隙を突こうみたいなことが出来ればいいのですが、結局、一度の勝負を制したひとが「この選択肢も取れるし、この選択肢も取れる」になるような気がします。
(対ぢ〜ぷさん1勝1敗、対さたもとさん1勝1敗、対クロマさん2敗)

総督


 第6種目は、多数決と交渉のゲーム。
 全員が初プレイだったこともあり、これといった競合が起きることなく、淡々と進み、趨勢が決されたような印象です。ほんとうは、もう少し無駄に駒を置かせたりして、疲弊を与えるような展開が、デザインに秘められている気がします。変則的なエリアマジョリティという見方もできる、面白いゲームでした。また遊んでみたいですね。
(秋山54、さたもとさん50、G2さん51、BakaFireさん49)

カエサル


 第7種目は『ハンニバル対ローマ』を多人数で遊ぶような感じのボードゲーム……と遊んだ直後は感じましたが、そうではないかもしれませんね。あまり、考えず無作為に駒を動かしてしまいましたが、ほんとうは先の先まで読んで、いかに有利に展開できるかを競い合うゲームなのかもしれません。
(けがわさん8、クロマさん6、G2さん6、秋山5)

スパルタクス

 第8種目は変則的なトリックテイキング。カードだけのゲームなので、写真は撮りませんでした。
 トリックテイキングと言えばカウンティングなので、第1ディールから、他のひとの出す1と2にだけ注目し、初手から計画的に大量得点を上げることに成功しました。しかし、第2か第3ディールで、バナーが2つ場に出て、クロマさんが凄まじい得点を一気に獲得し、そこから先は追いつくことができませんでした。
(クロマさん342、G2さん320、秋山306、さたもとさん176)

法廷


 第9種目は純然たる交渉ゲーム。クニツィアの交渉オンリーゲームと言えば『クォヴァディス』で、あちらは好きな作品ですが、こちらは、ちょっと好きになれない展開でしたね。
 まあ、いいんじゃないでしょうか。
(クロマさん40、BakaFireさん35、けがわさん26、秋山6)

カテリーナの陰謀


 第10種目は愛してやまない推理ゲームの傑作です。
 通常は誰かひとりが答えを宣言し、当てたらそこで終了ですが、今回は、紙に回答を書いておいて、最後の1人になるまで続けるという、けがわさんと2人で考えたヴァリアントで遊びました。
 今回は手札が、わりと読まれやすい構成になっていて、対戦相手も強者揃いだったので、きつかったです。ここで当てられれば1手、先んじられる! という場面でも外しまくり、散々な結果でした。
(さたもとさん1位、けがわさん2位、秋山3位、ぢ〜ぷさん未回答)

帝国


 第11種目はプロットとエリアマジョリティを組み合わせたゲームです。
 いかに、他のひとと競合せず、効率的に注力するかがポイントとなります。第1ラウンドから、誰も1〜3にコマをひとつも置かないという、先を見据えたプレイヤが揃い、最終ラウンドは激戦が予想されました。
 秋山は早々に狙いを定め、もう、そこだけに愚直にコマを注ぎ込みましたが、なんとか勝つことが出来ました。
(秋山20、ぢ〜ぷさん、熊本城さん19、クロマさん18)

近衛兵


 第12種目はバースト系のカードゲーム。
 一応、カウンティングの要素はありますが、一度、負け始めると果敢に攻めないと追いつけませんし、何より2枚しかめくれない展開は不幸の女神に微笑まれた以外の何物でもありません。
 まあ、いいんじゃないでしょうか。
(熊本城さん99、さたもとさん78、BakaFireさん73、秋山21)

商人


 第13種目はシンプルなルールの競り。
『メディチ』を簡略化したそうですが、肝心の『メディチ』をやったことがなかったので、インストが今ひとつ分かりませんでした。繰り返し、遊んだら面白そうですが、それよりも『メディチ』をやってみたいなと思いました。
(秋山、G2さん58点、熊本城さん52、けがわさん40)

大競技場


 第14種目は完全情報ゲームのレースゲームです。
 これは面白かったですね。
『アベカエサル』『ブレーキングアウェイ』『ビラボング』など、レースゲームに傑作は多いですが、このゲームも他に比肩しうる面白さを持っていると感じました。中盤を過ぎて、先行しているG2さんとぢ〜ぷさんが失速して、BakaFireさんが頭ひとつ抜けるだろうなと思って、がんばって邪魔したのですが、力足りなかったです。
(BakaFireさん1位、秋山2位、G2さん3位、ぢ〜ぷさん4位)

おわりに

 と言うわけで『古代ローマの新しいゲーム』を14種、全部、遊びましょうの会「古代ローマの新しいテトラデカスロン」でした。
 細かい結果は、けがわさんのレポートにありますが、ぢ〜ぷさんが1位、熊本城さんが2位、秋山は3位でした。思考を求められるゲームは概して好成績で、運とカウンティングの絡むゲームは概して低調でした。
 テトラデカスロンには、機会があれば、また挑戦したいですが、なるべく長考しないメンバーと遊びたいのと、やっぱり4人で遊ぶのが最適でしょうね。削れるダウンタイムは、可能な限り削らないとテトラデカスロンは、体力的にきついです。
 実際に14種、全部、遊んでみた面白かったゲームについても語っておきましょう。いちばんボードゲームとして面白いのは、間違いなく『帝国』でしょう。短いプレイ時間の中で、ドイツボードゲーム的な面白さが凝縮されているように感じました。次はアブストラクトになりますが『大競技場』です。ただ、こちらは運の要素が、最初の順番決めだけなので、苦手なひとは苦手かもしれません。
 2人対戦のゲームは総じて面白かったです。特に『ローマ七丘』は、是非、遊んで貰いたいですね。推理の要素が入っている故に好きなだけですが『カテリーナの陰謀』もお勧めです。頭が痺れるような快感に満ちています。トリックテイキングをはじめとするカードゲームが好きな方は『スパルタクス』もお試しあれ。