雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

2013年第1四半期オススメ10冊

 年度初めはバタバタしていて、着手が遅くなりました。
 さすがに5月も半ばなので、もう上半期と下半期でいいんじゃないかとも思いましたが、去年はしっかり4回やったので、今年もやろうと思います。
 と言うわけで、2013年1月から3月末までの3ヶ月間に読んだ本の内、面白かった10冊を紹介しますよ。例の如く読んだのがこの時期であるというだけで、新刊だけでなく既刊も含むことにご注意ください。

横山秀夫『64』

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

 抜群に面白かったのは、やっぱり横山秀夫の『64』ですね。
 2012年の注目作は? と問われれば、このミスと文春ミスで1位を取った本書を取り上げずに何を取り上げるのでしょうか。と、偉そうなことを言ってみましたが、実際には評判を聞いて、かつ家にあったので読んでみたという感じです。
 初横山秀夫にして、初警察小説でしたが、久々に感動しましたね。ページを繰る手を止められないエンターテイメントとは、まさに本書のことです。他の横山秀夫を読んでみたいですが、きっと寝不足になりそうで怖いです。

有栖川有栖『江神二郎の洞察』

江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ)

江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ)

 続いては学生アリスシリーズの最新作にして、第1短編集。
 正直、冗長な本格ミステリでした。舞台仕立てや物語運びは古くさく、なんだかありふれたミステリを読まされた気分です。基本的にすべて日常の謎であるというのも、面白くなさに拍車を掛けているように思います。です……が! どうしてでしょうね、何ヶ月、経っても色褪せることなく、自分の中で本書が残り続けているのですよね。きっと物語として強度があるのでしょう。

青崎吾『体育館の殺人』

体育館の殺人

体育館の殺人

 東京創元社のミステリ繋がり。と言うわけでもないですが、鮎川哲也賞受賞作です。
 これも、まあ、言ってしまえば派手さに欠ける小説でした。特徴的な探偵役は、さておきとして、だって殺害現場が体育館ですよ? 日常生活の真っ只中に形成された密室。分かります、分かりますが、うーん……という感じでしたが、これも、やっぱり印象深いんですよね。
 と、ここまで書いて分かりました。ミステリ愛ですね。作者のミステリへの愛情が、小説に、きちんと書き込まれているのでしょう。だから、好きなんでしょう。

宮内悠介『盤上の夜』

盤上の夜 (創元日本SF叢書)

盤上の夜 (創元日本SF叢書)

 東京創元社の新人繋がり。と言うわけでもないですが、創元SF短編賞から生まれた宮内悠介の第1短編集です。
 これは誰かに薦めたくなる小説ですね。SFやボードゲーム小説としても良いですし、単純にエンターテイメントとしても卓越しています。「清められた卓」の現代麻雀感は面白いですし、唐突に放り込まれる量子歴史学という深淵さも計り知れません。

土橋真二郎『殺戮ゲームの館』

『体育館の殺人』と『盤上の夜』に引き続き、本書もMYSDOKUの課題候補作に挙がったものです。
汝は人狼なりや?」というゲームを小説に落とし込んだもので、なかなか上質なサスペンスに仕上がっています。土橋真二郎は、基本的に、どれを読んでも土橋真二郎なのですが、その中でも本書は、悪くない分量でまとまっているように思います。

佐藤雅彦『考えの整頓』

考えの整頓

考えの整頓

 小説ではありません。エッセイ集、に含まれるのでしょうか。
 佐藤雅彦が日常生活を送る上で、ハッと気づいたものをまとめて軽く書いています。この本を読むと、なるほど、斬新さや新奇さというものは、ある瞬間に奇跡的に生まれるのではなく、日常的なセンスの研鑽の積み重ねのうえに降り立つのだということがよく分かります。

森博嗣ジグβは神ですか

ジグβは神ですか (講談社ノベルス)

ジグβは神ですか (講談社ノベルス)

 Gシリーズ最新作。いやあ、これは面白いですよ。
 一時期と比較し、最近、森博嗣の小説乱発感は、だいぶなくなりましたね。だからでしょうか、ここ最近では特に濃い作品でしたね。と言うか、ここに来て、まだ新しい様相を呈することに驚きを禁じ得ません。森博嗣は、いずれまとめて再読して、全作紹介本を作りたいですね。

森博嗣『銀河不動産の超越』

 今回は川上稔枠と西尾維新枠がない代わりに、森博嗣枠が2冊です。
 短編連作で今のところ1冊で完結している作品。これは森博嗣の1冊完結物の中でも、五本の指に入る出来栄えではないでしょうか。ミステリ感は皆無ですが、素朴な筆致に、詩的な表現、そういうのが上手いこと物語に落とし込まれているなと感じました。「森博嗣を1冊だけ読むなら?」という問いに本書の名前を出してもいいくらいです。

サタミシュウ私の奴隷になりなさい

私の奴隷になりなさい (角川文庫)

私の奴隷になりなさい (角川文庫)

 思っていた以上に面白かった、という印象です。
 なんだか、やたら色々な書店で高く積まれていて、人気があるんだかないんだかと思っていましたが、いやはや、けっこう良いんじゃないでしょうか。2作目以降に手が伸びることはないですが、この1冊だけと決めて楽しむ分には十分に良かったです。

白石一文『火口のふたり』

火口のふたり

火口のふたり

 まあ、ひどい小説でした。アホちゃうか。
 なんか、もう色々と想いが噴出しそうで困るんですが『江神二郎の洞察』『体育館の殺人』同様に忘れられない小説なんですよね。ふしぎなパワーはある小説ですね。

終わりに

 と言うわけで10冊でした。久々に書いたからか、勝手が分からず、紹介と言うか、なんか気持ちを言葉にしているだけの適当な感じになってしまいました。ま、こういうときもあるでしょう。
 次のクォーターも面白い本に出会えますように。
 皆さまも、どうぞ素敵な四季を。