雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ラピュタ・もののけ・時かけの美術監督、山本二三展を訪ねる(静岡市美術館)

 第1回キングオブ静岡ラーメンの中部地区を制し、静岡でいちばん美味いラーメンとも呼ばれる「らーめん矢吹」へ行ったのですが、道中、見覚えのある背景画の描かれたポスターを見かけました。
天空の城ラピュタ』『火垂るの墓』『もののけ姫』『時をかける少女』などの美術監督を務めた山本二三、その展覧会が静岡市美術館で開催されていたのです……!(いったい、どういう前振りなんだ……。

興味のないものに興味を持つ

 本に割く時間を確保するために、テレビを見ない生活を送り始めて10年くらい経ちますが、総じて興味のあるものしか積極的に情報を得ようとしないので、逆に、興味のない情報は凄まじい勢いで抜け落ちています。
 だからこそ、一瞬でも琴線に触れれば、興味を持つように心掛けていて、美術館とか博物館は、けっこう好きです。旅先では「観光名所もいいけど、美術館もね!」というタイプです。

静岡市美術館


 最初に感じたのは「ロゴの線が細いな」です。
 わりと平淡で、縦に長いです。
 ちょっと冷たいイメージですが「SHIZUOKA」と「MUSEUM」のUからO、UからSが生み出されているのが面白いです。あるいは生み出す、ではなく拡大、かもしれません。
 細部を拡大、というイメージだとすれば「普段は気に留めない、小さい絵をじっくりと見てください」そういう想いが込められている可能性があります。なるほど、神は細部に宿る、を意識しているのかもしれません。
 良い美術館に違いないと思って入りました。

山本二三展


 寡聞にして山本二三という名前は、初めて知りました。
天空の城ラピュタ』や『時をかける少女』に見られる雲は、二三雲としてその業界では有名らしいですね。

背景画の基本

背景画の基本は、風、空気、水、土、火の五大元素である。

 未発表の映画『かちかち山』の背景画が展示されていたのですが、夜の囲炉裏のシーンを見て驚きました。絵のどこにも火の赤が描かれていないのに、囲炉裏の中に熱が残っているのが分かるんですよね。
 何故、そう感じたのでしょうか。
 直前の絵が、赤々と燃える囲炉裏のシーンだったので、対比として、火が消えた後も、熱が残っているように感じたのか。もしくは、熱を湛えているように感じるように、なにか工夫があったのかもしれません。

シシ神の森

もののけ姫』は美術監督が4人もいるらしいですね。
 それぞれに担当区分が異なるらしく、山本二三はシシ神の森だけを担当しているそうです。おびただしい量の、そして様々な顔を持つ、森という森が展示されていましたが、最後に展示されていた背景画は、屈指の一言。
 横長の一枚絵だったのですが、説明文を見ると「左から視線移動してください」とあって、若干、暗めの、右側から光が差し込み、左側へと影を落としている木々の群れからスタートして、顔を固定して、足だけ右に動かしながら、少しずつ光源が近づいて、暗かった森が少しずつ明るくなり、黒かった水面にも色が入り、木の幹が反射するようになるのを動かない絵なんですけれど、見ている人間が動くことによって擬似的にアニメーションさせて、そして、ついに絵の右端に辿り着いたとき、鳥肌が立ちました。
 光源はシシ神だったのです。

高畑勲が寄せた言葉

 宮崎駿高畑勲が言葉を寄せていました。

リアルな『リアル』ではないが、別の『リアル』がそこに立ち現れる。

 山本二三の背景画は、リアルとデフォルメのバランスが絶妙……と言うような、文脈の中に見受けられた一節です。ちょっと印象深かったのでメモを取りました。

終わりに

 展覧会は9月23日まで開催されているそうです。
 静岡駅から徒歩5分、お近くの方は是非。オススメですよ。