アドベンチャーゲーム全般が好きな秋山です、こんにちは。
最初に遊んだアドベンチャーが『オホーツクに消ゆ』だったこともあり、特にミステリ系が好きですね。探偵神宮寺三郎シリーズとか、探偵癸生川凌介事件譚シリーズとか。
『逆転裁判』も大好きなシリーズで、つい先日、若干の今さらながら感はありますが『大逆転裁判』もクリアしました。傑作でした。で、今日は『ゴーストトリック』の話をします。ネタバレはしません。
ゴースト トリック NEW Best Price! 2000
- 発売日: 2011/05/26
- メディア: Video Game
逆転裁判の魅力
ゴーストトリックに入る前に逆転裁判。
まず、タイトルが良いですよねえ。
最近はリアル脱出ゲームにはまっているのですが、リアル脱出ゲームという名称も秀逸ですよね。目にした瞬間に、どういうイベントなのか、だいたい想像できます。
逆転裁判も、まったく一緒で、タイトルだけで、どういうゲームか想像できて、そのコンセプトや強みがどこに設定されていて、どういうテーマなのか、すべてがタイトルに集約されています。そして、実際に遊んでみると、絶望的なまでに圧倒的窮地から、奇跡的な逆転劇を楽しめるという期待通りのものが提供されるので、満足値が際限なく上がるんですよね。
具体的には、先行きの見えないストーリーでしょうか。
事件発生当初、どう考えても被疑者が犯人としか思えないシチュエーションから始まり、ちょっと打開の糸口が見つかったとしても、すぐに客観的な証拠に阻まれてしまい、にっちもさっちもいかないわけです。でも、そこはゲームなので、何とかして小さな矛盾を突いて、突いて、突きまくっている内に、ゲームの開始時点においては予想もしなかったほど大きな陰謀が現れて、物語が大きく転換するという快感があります。
逆転裁判の、この構造に魅力を覚えている方であれば、『ゴーストトリック』は140%楽しめます。
絶対の自信を持って、太鼓判を押しまくります。
ゴーストトリックってどんなゲーム?
システム的に、ざっと説明すると、
トリツイテ、
アヤツッテ、
トキアカス、ゲームです。
さすがに分かりにくいですよね。
もう少し細かく説明しましょう。
ゴーストトリックって、こんなゲーム
主人公の名はシセル。
真っ赤なスーツに、とんがりコーンのような金髪というチンピラめいた容姿をしています。
ゲーム開始時点において、既にして死んでいて、死のショックからか記憶を失った幽霊的存在になっています。
このまま消えゆくのかなと思いきや、クネクネと踊る電気スタンドに出会い、無機物に取り憑いて、少しだけ操る能力に目覚めます。さらに、この能力を組み合わせ、無機物ではなく、死者に取り憑いたときは、その死の4分前にタイムスリップして、その4分間を何度も繰り返すことで、死ぬ運命にあったその人物が死なないように、運命を書き換えることもできます。
ゲーム内において、シセルは極めて無力な存在です。扇風機をちょっと強く回転させたり、ジャンプ傘を広げたりするくらいしかできません。でも、そんな小さな力でも、効果的なタイミングにおいて、効果的に発動させれば、大きな影響を及ぼすことができます。
失われた記憶を取り戻し、シセルの正体を解き明かし、どうして自分が死ぬことになったのかを知るために、プレイヤは様々な無機物に取り憑き、操り、死者に取り憑き、その死の4分前に戻り、運命を書き換え、真相へ至る旅に出るわけです。
各ステージの面白さ
全20章くらいだったでしょうか。
各ステージでは、重要な人物が死なないように運命を書き換えたり、協力関係にある人物が、状況を突破できるように手を貸したり、様々なミッションが与えられます。
最初は、
「これは、さすがに絶体絶命でしょう」
というような状況なのですが、少しずつ無機物を操作することで、少しずつ状況を変化させ、たったひとつの結末に至るルートを探すのが面白いです。
ステージによっては、タイミングが一瞬しかなく、たとえば風に吹かれたコピー紙が地面に到達するまでの僅かな時間を使って取り憑き終えないと間に合わない、みたいなシビアなシーンもあったりして、その小さな小さな突破口を探し出すのが面白いです。
ゲーム全体の面白さ
しかしながら、各ステージの面白さは、ゲームにちょっとした花を添える程度に過ぎません。
『ゴーストトリック』の真価は、何と言っても次から次へと明かされる真実と謎、急転直下の展開と言えるでしょう。
物語開始時点における謎は、シセルの正体と死ぬ理由くらいですが、物語が転がり始めると、生前のシセルは女刑事とどのような取り引きを交わす予定だった? 女刑事がたったひとりで追っている事件とは? シセルを追う謎の組織の正体は? そもそも死者のチカラとは?? と、次から次へと謎が降り掛かってくるのです。
体感で言うと、ひとつ小さな謎が解けると、ふたつかみっつくらい新たな謎が現れる感じです。
各ステージは、どうですかね、30分もあればクリアできるのですが、ぜんぜん中断するタイミングを見つけられないんですよね。次の章が終わったら休憩しようと思うのですが、その章の終わりで明かされる真実と次の謎が、あまりに衝撃的なので、続きが気になりすぎて、ぜんぜんプレイする手を休められないのです。まさに、ノンストップ。
濃密な一夜が明けるときに待ち受ける結末
物語が、たった一晩の出来事、というのも良いですね。
シセルの死者のチカラが失われてしまう夜明けまでに、すべての謎を解き明かし、事件に終止符を打たなければならないという背景が、プレイ中の時間を、とても濃密にすると同時に、適度な緊張感を与えてくれます。
また、気持ちが良いのは、
すべてが伏線である。
ということですね。
ゲーム中、些細な引っかかりや、ちょっとした疑問、違和感というのが随所にあるのですが、そのすべてが伏線であり、そのすべてが結末において、しっかりと過不足なく回収されるのが、とても美しいです。
これは、また安心して遊べるということでもありますね。
プレイヤを煽るためだけの設定や展開は、何一つとしてなく、すべてに理由があるわけです。
このゲームには、群像劇の如く、多くのキャラクタが登場し、それぞれに、それぞれの思惑や意志を持って、この一晩を駆け抜けようとしているのですが、そのすべてが収斂するラストシーンは、ほんとうに感動的と言うか、感涙必至です。
キャラクタの造形が良い
記事のタイトルに絶賛と書いてしまったので、もう少し褒めておきますか。
次は、キャラクタについて。
どのキャラも、それぞれに良いところがあるのですが、やっぱりシセルですよね。チンピラめいた外見ではあるのですが、一人称は「私」と穏やかで、
「おや、我らが女刑事氏は、私が駆けつける前に、またしても死んでしまったようだな。仕方ない、再び救いだすために戻るとしようか。死の、4分前に」
なんて調子で、諧謔を持ちつつも物事に真摯に当たる姿勢が、とても良いです。
また、ディレクター巧舟の飼い犬がモデルになった、ポメラニアンのミサイルも、最高に良い味を出していて、
「ご主人様を守るのがボクたち犬の使命……! 今こそ、死力を尽くす時ですともッ!」
と言いながら、トコトコ走って、キャンキャン吠えるあたり、最高に可愛らしいです。
この他に、女刑事リンネも健気で一生懸命で良いですし、カバネラ警部や囚人ジョードも、最初こそは謎めいた怪しい男でしたが、終盤には、もう格好良すぎてヤバイくらいです。
終わりに
そもそも、何故、今『ゴーストトリック』かと言うと、『大逆転裁判』が面白かったからですね。
それで、面白かった頃の『逆転裁判』を思い出して、裏逆転裁判とも言える『ゴーストトリック』を7年ぶりに遊んでみたんですよ。もちろんプレイ済みなので覚えているところもありますが、7年前なので忘れているところも多く、けっこう新鮮にプレイできましたし、感動的なシーンでは、やっぱり泣いてしまいました。
そんなわけで、テンションが上がって、今日の、この記事と言うわけですね。
DS版もありますが、iPhoneアプリ版もリリースされているので、是非、お好きな方で遊んでみてください。
あわせて読みたい
『大逆転裁判』の感想です。こちらもアプリ版が出ているみたいですけどね。