SCRAPのリアル脱出ゲームの各公演において司会やキャストをやっていることの多い鈴木秀明さんが、企画・構成・脚本・演出、と言うことで「行くしかない!」と決めた演劇X体験型ミステリー『紫陽花と君と止まった時間』の感想です。謎に対するネタバレはしないよう注意していますが、気になる方は回れ右推奨です。
龍丸寺光男(リュウガンジミツオ)探偵学校。
現場に出れば、迷推理。"ヘッポコ探偵"と呼ばれた龍丸寺光男が立ち上げた探偵学校は、未曾有の経営難に苛まれていた。
優秀な探偵が育たないため、実績をあげることができず、入学希望者が激減したのだ。
そこで、龍丸寺探偵は考えた。
その年の入学試験には、ある目玉が用意されたのだ。
どうやら試験官の中に、世界的に有名な探偵HINAがいるらしい。
HINAを一目見ようとあなたは試験会場にやってくる。様々な試験を、こなすあなた。
その試験は順調に進んでいる、はずだったーー
突如として悲鳴が響き渡り、
試験終了の鐘の音を掻き消した。
この怪事件を、あなたは解くことができるのか。
http://www.suzuhi-kikaku.online/
今、この試験会場で、止まっていた時間が動き出す。
結果
龍丸寺光男探偵学校に入学しても、たいした授業は受けられそうにないので関心はなかったのですが、あの探偵HINAさんが来るとなれば話は別です。ミーハーにも受けに行ったら怪事件に巻き込まれてしまい、どうした経緯か事件解決に向けて推理することになったのですが、事件を解き明かしてしまうとHINAさんの出番を奪うことになるので、適度に頑張りつつ、適度に外すことにしました*1。
成績(秋山が参加した回)
挑戦数:15組
3位:190点
2位:195点
1位:215点*2
開始前
サイトを見たところ、劇団員の方が多い印象だったので、演劇要素の強い謎解きなのかなあ、もしかしたらプレイヤの中にも仕込みの劇団員がいたりするのかも、キョロキョロ、と挙動不審な感じでした。
開幕後
「それでは、試験を始めます。一限目は○○力をはかる試験です。制限時間は○○分です。では、始めてください」
「うおー、なんだこれ、むずいー!」
「あ、私、解けました」
「分かった、LIONです!*3」
と言う感じで、探偵学校への入学を目指す生徒になりきって試験を受ける感じでした。
謎解き要素のある問題もあれば、茶番要素のある問題もあって、チーム毎に協力して進めていきます。
そんなこんなで、順調に試験を進めていくと。
「きゃー!!」
「ん? 誰の悲鳴ですかね? キャストの方の演技かな?」
……あ、ストーリー忘れてた。
探偵学校の試験はサブで、本題は、ここからだよ! ズンドコーズンドコー
閉幕後
公演が終わったら鈴木さんが「長くなっちゃってすみません」と色んな方に仰っていて、首を傾げながら会場を出て時計を確認したら、23時半で驚きました。受付を済ませたのが19時半だったので、4時間近くも会場にいたわけですね。えらいこっちゃ。
公演としては、E-Pin企画さんのミステリーナイトに、リアル謎解きゲームの手法を取り入れた、という印象を受けました。と言っても、E-Pin企画さんの公演は少人数制のミステリー・ザ・サードしか遊んだことがないので、この喩えが正確かは、今ひとつ自信がないですけれど……。
秋山の認識では、こうです。
ミステリーナイトの公演は、
(1)オープニングとなる演劇を見る。
(2)参加者が事件現場を捜査したり、聞き込みしたりする。
(3)推理結果を個人が提出する。
(4)エンディングとなる演劇を見る。
(5)正解に近かった個人が表彰される
という流れです。
一方、リアル謎解きゲームの公演は、
(1)前説を聞く。
(2)チームで小謎を解く。
(3)新たな謎やヒントが与えられる。
(4)2と3を繰り返す内に大謎が与えられる。
(5)役割分担と情報共有しつつ大謎を解くと脱出成功。
(6)解説を聞く。
こんな感じでしょうか。
そして、すゞひ企画さんの本公演は、これら2種類の公演の間の子と言うか、いいとこ取りみたいな感じでした。
誤解されないよう補足しておくと「足して二で割る」ではなく「いいとこ取り」。つまり、作り手側の手間と言うか、コスト的には2倍なのではないかと感じました。4000円は安いですよ……!
公演自体の感想は、めちゃくちゃ良かったです。
3時間超の公演が一瞬に感じられるほど、死ぬほど濃密な時間を過ごすことができました。全力で動きすぎた結果、終わった瞬間、ちょっと息切れしていたくらいです。
役者さんの演技も良かったです。
特に森下亮さんは熱演でした。畑中智行さんもカッコいいなと感じましたが、森下さんの方が好みかな。後、瀬戸口俊介さんの、すっとぼけたところのある演技や、希望を捨てないところも最高でした。
物語的にも、時間という概念の扱い方が抜群に優れていて、二重にも三重にも付与されていた意味が、すべて一本に繋がって、最後の最後でほんとうの意味で、時間を動き始めたときの「そういうことだったのかーっ!!」は、超衝撃でした。
めっちゃくちゃ面白かったんですけれど、難しさもとんでもなかったですね。
前作『カーテンコールは終わらない』は5倍くらい難しいらしいので、楽しみである一方、若干、腰が引けてる感もあります……。
秋山チャート
要素 | 5段階評価 |
---|---|
オススメ | ★★★★★★ |
探索 | ★★ |
物量 | ★★★★★ |
ストーリー | ★★★★★★ |
救済度 | ★★★★★ |