雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

過去のコンテンツが疑似体験できる『密室迷宮倶楽部オンライン』お得過ぎる神企画でした


 今日は、E-Pin企画さんの『密室迷宮倶楽部オンライン』が最高でした、というお話です。

『密室迷宮倶楽部』の概要

『ミステリーナイト』や『ミステリーツアー』など、様々なミステリー系のイベントを仕掛けているE-Pin企画さんのゲームイベント群のなかに『密室迷宮倶楽部』というシリーズがあります。
 プレイヤーはミステリー好きとなり、同好の士のために用意された過去の未解決事件を味合うことができます
 イベントは日中のホテルで開催され、複数の部屋を巡り、再現された事件現場をその目で見たり、演劇を見たりしつつ事件を解き明かします。

『密室迷宮倶楽部オンライン』の概要

 2015年から2019年にかけて5年間、開催された『密室迷宮倶楽部』の中から、選りすぐりの作品がオンライン版に再構成され、遊び放題となります
 また、完全新作の事件や会員向けのオンライン公演にも参加できます。

イベントの感想

 まさに神イベントと言うしかないでしょう。
 コンテンツの概要を聞いて、会員チケットが税込み10,000円と聞いたときの第一声は、


安っ! ……安っす!!


 でした。
 第一声と言いつつ、2回言っていますが。


 E-Pin企画さんの公演は、演劇要素を含むこともあって、SCRAPさんなどのリアル謎解きゲームの相場と比較すると高めの値段設定です。
 その面白さは折り紙付きなので、間違いないことは確かなのですが、いざチケットを申し込む段になると二の足を踏む自分がいます。
 特に『ミステリーナイト』は1人あたり30,000円を超えるので覚悟が求められます。
 その点、『密室迷宮倶楽部』は、だいたい1人あたり15,000円なので、だいぶ良心的と言えるかもしれません。
 この流れで見ていただけると『密室迷宮倶楽部オンライン』の10,000円が破格の設定であることはご理解いただけるかと


 イベント開始当時は、どれくらいのミステリー作品が遊べるようになるかは発表されていませんでしたが、最終的に、
・過去作品のオンライン版が8作
・新作音声配信作品が2作
・新作オンライン公演が1作
・新作ミステリー小説が2連載
・Zoom交流会が3回
 が公開され、さらにリアル公演であった演じるミステリー『迷宮の孤島~labyrinth islandへようこそ~』の1000円キャッシュバックキャンペーンもあり、会費に見合うどころか、むしろ今までE-Pin企画さん自身が築き上げてきた相場を自ら破壊しうる、圧倒的供給過多と感じました。
 いえ、文句は言っていません。。
 プレイヤーとしては、感謝しかありません


 Zoom交流会は1回だけ他の予定と被ってしまい参加できませんでしたが、ほぼ、すべてのコンテンツを楽しませていただきました。
 過去作品のオンライン版も逮捕状を提示することができ、満点を獲得できれば「全問正解者」として公式サイトに探偵名を掲載いただけます。
 がんばって考えた結果、8作の内7作において全問正解に至ることができました!
 途中から「ここまで来たら、全作全問正解したい!」と意気込みましたが、第8作にしてつまづいてしまい残念です……。


 作品数が多いので、全作に対し詳細な感想を書くのは大変ですが、せっかくなので、少しずつ書こうと思います。
『伊佐間市連続撲殺事件』は実に池上さんらしいミステリーでした。難易度も他作品と比較すると低めで、File No.1にうってつけのタイトルでした。
『呪いの教会の怪事件』は振り返ってみても全8作のなかでベストであるように感じました。とにかく情報量が多く、事件を理解するのが一苦労でした。3時間くらいですかね、何度も何度も資料を読み返しているうちに閃く瞬間があり、ミステリーの醍醐味を堪能しました。
『死を呼ぶ断崖』は好みの作品です。不可解そのものなのですが、ある1点に気がつくと全体を覆っていたヴェールが剥がれるように、一気に鮮明になるのが美しいです。
『鬼才の彫刻家不審死事件』これは背景に横たわる物語が、悲しく美しく、端麗な推理小説を思わせました。
『目撃された4足の靴事件』ほんと超絶技巧としか言いようがありません。最初に事件資料を読んだときは、さっぱり意味が分からず、繰り返し当たっているうちに紐解けていくミステリー体験が良かったです。
『ダイイングメッセージをめぐる、ある山荘の不審事件』こちらも、また池上さんらしい、ユニークで記憶に長く残る作品ですね。こういうの好きです。
『人気歌手の最期の声』これは1970年代という時代設定が巧みですね。『密室迷宮倶楽部』は過去の未解決事件を発掘してきて、会員向けに謎解きコンテンツとして提供するという外側のストーリーがありますが「最近の話ではなく、昔の話である」というのが、機能していました。MMKならではと言えるので、実にコンセプトに合っていると感じました。
『現場はかく語りき』唯一、全問正解できなかった作品です。タイトルから察せられる通り、証言の類は存在せず、ただ現場に残された情報だけを手がかりに、その日その時なにがあったのかを探る必要があります。もう少し粘っていれば全問正解できたいたと思うので悔しいですね。


 長くなりましたが、以上です。
 ところで通しで遊ぶことによって、改めてミステリーイベントにおける「攻略」について悩みました。
 おおきくふたつあって、ひとつは逮捕状。
 選択形式になっていると問題文である逮捕状それ自体が、ある種のヒントになってしまうのですよね。捜査資料を読んだ時点では、まったく犯人が分かっていなかったのが、逮捕状を見ることによって目星がついてしまう。
 もちろん逮捕状を見てもヒントにならないように作ったり、逮捕状の中にミスリードを入れることはできますが、そういう恣意も含めて、どのようにプレイヤーにミステリーを提供するのか……ここらへんは、デザイナー個々の趣味もしくは矜持、哲学の世界かもしれませんが。


 もうひとつは独自の要素。
 多くの作品は、それぞれ動画や音声、写真など独自の要素がありました。
 たとえば動画は演者を揃えて撮影する必要があるので、わざわざ動画にしているということは、動画でしか表現できない何かがあるはずです。ということは、他の情報をある程度、度外視して、肝心の動画さえ、しっかりと見れば、事件解決に至る重要な情報が手に入る……と当たりがついてしまいます。
 ある種のテクニックかもしれませんが、動画ファイルを見かけた瞬間に「よし、今回は動画か」と姿勢を正してしまった自分自身を、すこし嫌になってしまいました……。


 ミステリー作品は謎解きほど供給が多くないので、普段は1作ずつ丁寧に遊ばせていただいていますが、今回のように連続して遊ぶことができると俯瞰することができます
 捜査資料があって、逮捕状を提出するという基本的な流れも共通していますしね。
 俯瞰することでしか見えない風景もあって、そういう観点でも素晴らしかったです

終わりに

 と言うわけで、ほんとうに最初から最後まで楽しめました!
 どれくらいのユーザが会員になって楽しんだかは分かりませんが、ほんとうに素晴らしかったです。
 E-Pin企画さんには、他にも『ミステリーナイト』をはじめ、膨大なアーカイブがあるはずなので、是非、こういった試みは継続いただけると嬉しいですね。