雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

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遊ぶたびにルールが変わるカードゲーム『フィアー』の感想

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 奇才フリードマン・フリーゼによるFast Forward(ファスト・フォワード)シリーズの第1弾『FEAR(フィアー)』を遊びました。
『緑の幽霊屋敷』というタイトルで、アークライトが完全日本語版を発行予定ですが、今日現在、未だ製作中というステイタスです。

フリーゼのフリーゼたる所以

 フリードマン・フリーゼは、けっこう好きなデザイナです。
 という話をすると、いろいろな方に驚かれるのですが、秋山は好きです。エッセンに行くたびに、見掛けてはファンであることを伝え、近作の感想を伝え、ツーショット写真を頼んでいますが、まあ、それくらい、めちゃくちゃ好きです。
 一般には『電力会社』が最高傑作だとされていて、後は『ファウナ』が定番ゲームとして市民権を得ているように思いますが、個人的には、ドナルド・X・ヴァッカリーノの『ドミニオン』を受けて、アンサー的に作られた『ビール侯爵』を遊んだときにビビッ! と来ました。その後の『フライデー(ロビンソン漂流記)』も傑作だと思いますし、『ファミリア』なんかも好きです。
 なんて言えばいいんでしょうかね。他のデザイナが生み出した、きれいで完成度の高いメカニズムに対して、彼なりのアンサーを変化球として返す、というスタイルそれ自体が好きです

一度しか遊べないレガシー系

『パンデミック:レガシー』以降、ボードゲームの文脈において、一度しか遊ぶことができない、いわゆるレガシー系が流行りました。
 流行るや否や、即座に着手するのがフリーゼのフリーゼたる所以で、手がけられたのが『フルーツジュース』。ワーカープレイスメントなんですが、自分のワーカーを配置できる場はカードで、ゲームが進むと、どんどんカードが減り、その分、カードが増えるので、選択できるアクションが変わっていくというキレキレ感。正直、バランスはいかがなものかと思わないでもないですが、秋山は好きです。



 この『フルーツジュース』を、さらに突き進めたのがFast Forward(ファスト・フォワード)シリーズで、なんと、こちらはルールブックがありません。
 蓋を開けたら、即座に遊び始めることができるタイプのゲームで、カードをめくっていくと、じょじょにルールが増えていくという形式です。
『フィアー』、『フォートレス』、『フリー』、『フォーチュン』と第4弾までリリースされていますが、最初に触れたのは第3弾の『フリー』でした。
 これは非常に素晴らしく、人生のベストテンに間違いなく入る傑作中の傑作です。


フィアーの感想

 前段が長くなりましたが『フィアー』について。
 メカニズム的には、なんと言うことはないカウントアップ。手番が来たら、山札からカードを1枚引くか、場に1枚プレイする。プレイした場札の合計が15を超えたら脱落。まあ、ありていに言うと『ノイ』です


『フィアー』の面白いところは、脱落のタイミングで一部カードをゲームから除外して、残りを山札のいちばん上に戻すというところです。
 伝わりますかね。
 カウントアップというメカニズムが採用されている以上、各プレイヤがカードを出し続ければ、やがては誰かが脱落してゲームが終了するのです。しかし、山札を作り直す前に、一部カードを除外すれば、ゲームを繰り返せば繰り返すほど、少しずつ山札を掘り進めることができ、見たことがないカードが、少しずつゲームに混ざっていくのです。
『フルーツジュース』を遊んだことがある方がすれば「ああ、またか」と思われるかもしれませんが、そう、またです。


 はっきり言って、ゲームとしては面白くありません。
 遊び続けるうちに、どんどんルールが追加されたり、変わっていきますし、ちゃぶ台をひっくり返すような強力なカードが出てきたりして、派手な展開を迎えたりしますが、最初から最後までやっていることはカウントアップに他ならず、飽きっぽいひとは15分で飽きることでしょう。


 2時間、プレイしつづけたところで、山札の最後の1枚を見ることができたので、そこで一段落としました。
 繰り返しになりますが、ゲームとしては面白くありません。しかし、ゲームデザインはと問われると、極めて興味深かったと返します。じょじょにゲームが変わっていく感じ。『フルーツジュース』でも体感しましたが、ひとつのゲームを遊んでいるはずなのに、少しずつゲームが変わっていく奇妙な体験は得難いものです
 そして、冒頭に記した通り、フリーゼのボードゲームデザインに対する姿勢そのものが好きで、そこに対してファンである秋山にとって『フィアー』は最高に面白いゲームでした。

終わりに

 大事なことなので、しつこいかもしれませんが、もう1回、書きます。別に面白くありません。ただの、カウントアップです。でも、繰り返しプレイしていくうちに、じょじょに表情が変わっていく、ゲームの性質がすり替わっていくという体験は、他のどんなゲームでも得られるものではありません。
 気に入るひとは、絶対に気に入ると思うので、是非、メンバーを選んだうえで、最後まで遊んでいただければ幸いです。


こっちの方が好き

第2弾の『フォートレス』と比べてってこと?

そうそう。『フォートレス』は、よく分からなかったし、ぜんぜん勝てなくて面白くなかったけれど、こっちは分かりやすくて良かったよ

基本となるメカニズムが、極めてシンプルで、入れ替わり立ち替わり現れるルールも、基本に対してちょっとした拡張レベルだから、順応しやすいよね。カードも、すべてオープンでプレイされるから、見通しも立ちやすいし