スマートフォンアプリやSteamで配信されているワードパズル&ノベルゲームの『7 Days to End with You』を遊びました。
ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
ある日、目覚めたプレイヤーの前に、ひとりの女性がいます。
彼女が喋る言葉は、読めない記号で表現されており、意思の疎通はできません。
彼女と過ごす最後の7日間、あなたはなにを感じ、なにを伝えるのか。
ゲームの感想
いやはや、すごいゲームを遊んでしまいました……!
あらすじを一読して、
遊ばなくても分かる。これは傑作だ!
と確信し、速攻でスマートフォンの有料アプリ版を購入しました。
ゲームを始めると、早速、目の前に謎の女性が現れます。話しかけてくれますが、なにを言っているのか、さっぱり分かりません。海難事故にあって、異国の地に辿り着いて、彼女が救ってくれたのだろうか──?
そんな想像をしながら、なんとか言葉の意味を汲み取ろうとします。
このドット絵も素敵ですよね。
どちらかと言うと荒削りで、素晴らしいドット絵ではありませんが、作品の性質には、とても合っていると感じました。
室内をタップすると、それが何であるか教えてくれます。
いろいろなところをタップしながら想像で記号に日本語を当てはめていきます。
尚、このスクリーンショットは、私が1周目に撮ったもので、この訳の正否については、ここでは論じません。
辞書機能も用意されており、今までに見聞きした言葉を振り返ったり確認することができます。
とりあえず意味を当てはめていくと違う言葉に、同じ訳を当てていたりして、後で振り返ると矛盾が発生していることに気づいたりします。
さて、本作について。
主人公は何者で、この女性は何者で、この7日間はどういう意味を持っているのか──? 女性の言葉を解読することで、少しずつ浮き彫りになっていくストーリーを楽しむゲーム……なのでしょうか?
確かに、ゲームのテーマとしては上記の通りです。
しかし、遊びはじめたとき、わたしが覚えた感情は、少しずつ見えてくる物語に対する興奮でも、分からないが少しずつ分かる快感でもなく、正解が与えられない不安と苦痛でした。
本作に答え合わせはありません。
攻略サイトを見れば、そこに記載されている「答え」と自分の「推理」を照らし合わせることはできますが、ゲーム内で「この記号の意味はこうだよ」と提示されることは、ほとんどありません(ヒントはあります)。
従って、想像や堪で記号に言葉を当てはめていくのですが、ほんとうにその解釈で合っているのか、分からないままゲームが続くのです。
自分が彼女の言葉を、正しく理解できているのか否か、中空にふわふわと浮かび続けている感覚が妙に落ち着かず、とにかく時間をすっ飛ばして、バッドエンドでいいから、1回はエンディングを見よう。
……と思いましたが、実行に移すことはしませんでした。
真摯ではないと感じたからです。
果たして彼女が命の恩人なのか、あるいは『ミザリー』のように主人公を拘束している狂気の存在なのか……真実は分かりませんが、プレイヤーにできることは、僅かな可能性でも離すことなく掴み取り、しっかりと辿っていくことだと考えました。
遊んでいる最中、どこまでこの境遇で立ち向かえるか、コミュニケーション力、あるいは人間として生きる力を試されている。そう感じました。
最初にエンディングに辿り着いたとき、深い溜息をつきました。
自分にできることをやって、やり遂げたと思いました。
終わりに
リリースからしばらく経ち、現在は攻略サイトも充実しており、それらを確認すれば容易く物語を楽しめるようにありました。
しかし、せめて最初の1周目だけは、ノーヒントで遊ばれると良いかなと思います。
どこまで彼女のことを理解できるのか。是非、自分自身の手で切り開いてください。