雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

いつか、ふたりは二匹

いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)

いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)

 ミステリーランドの中でも評判のいい作品だが、正直なところ今ひとつと言った具合。確かに視点を少し変えるだけで事件の様相が180度転換するところや、犬や猫の視点から見た人間のグロテスクさは上手く表現できていたと思うけれど、何故か自分にはそれが完璧な状態で届かなかったように思う。
 ところで西澤保彦は動機や結末に黒い男女の仲を持ってくることが多く、そのため滅入ること頻りなのだけれど本書に関して言えばそれはなかったように思う。後書きで「できればポール・ギャリコのように、リリカルで切ない、ロマンティックな冒険物語にしたい――、と思ったのですが、メインとなる設定を拝借しただけで、あとはなんというのか、「いつもの西澤保彦」(って、何だそれ)になってしまったような気もします。」とあるけれど、これはきっと謙遜です。全然「いつもの西澤保彦」っぽくないし、しっかりリリカルしてたと思います。結末なんてちょっとほろ苦い感じですし、自分はいいと思います。でもストーリィ全体として見ると何だか今ひとつ、と。