雲上四季

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国内本格ミステリ・ランキング発表

2008本格ミステリ・ベスト10

2008本格ミステリ・ベスト10

 原書房『2008本格ミステリ・ベスト10』を買ってきました。
 一足早く発売された早ミスに続く本ミスは、今年第2のミステリ年末ランキング本です。残すは宝島社のこのミスと、文藝春秋の文春ミスですね。
 ランキングの内訳に関しては、国内・海外・ネットのいずれも2ちゃんねるに書き込まれたものの通りでした。ただ、海外部門にだけ小さな誤りがあって、『サム・ホーソンの事件簿 5』は『議会に死体』と合計点数が53点で、共に9位でした。
 既読率は国内部門は20作中15作、国内ネット部門は20作中16作、海外部門は10作中1作でした。
 以下、ランキングのネタバレ。

ランキング雑感

 想定通り……! と言うわけではないですが、概ね下馬評通りの結果に落ち着いたかなと思いました。特に上位2作に関しては、かなりのひとが思っていたとおりの結果になったのではないでしょうか。
 それ以外の点としては、思いのほか『密室キングダム』の順位が高くて驚きましたし『夕陽はかえる』にも驚愕しました。インシテミルが4位という結果は米澤穂信ファンとして非常に喜ばしいです。道尾秀介は票が分散してしまったのか、『ソロモンの犬』が14位、『片眼の猿』が20位とちょっと残念な結果ではありますが、逆にいればどちらか片方に票が寄っていない分、安定した作家になってきたと言えないこともないですね。『少年検閲官』が16位というのはちょっと悲しかったですね、もう少し上位でもいいのではないかな、と。
 新人としては『天帝のはしたなき果実』が16位、そして『雲上都市の大冒険』が23位。古野まほろはコアなファンがいるのだろうなと思いつつ、『雲上都市』に投票したひとが3人もいたことに驚きです。逆にショックなのは『リロ・グラ・シスタ』『赤石沢教室の実験』がランク外であること。詠坂雄二はまだチャンスが残されていると思いますが、田代裕彦はせっかく単行本デビューしたのに、完全に無視されたかたちですね……残念。

コラム雑感

 鷹城宏「ライトノベル・ミステリ千鳥足」に関しては、先にid:kirisakinekoさんに「ライトノベルなミステリ 逍遥から千鳥足へ。」で取り上げられてしまいましたが、市川尚吾マイナーリーグ注目作」にもライトノベルミステリと思われる作品が、何作か紹介されていました。と言っても新風舎とかですけれど……。以下、箇条書きにしてみます。

飯島一次『鉄砲はわらう』新風舎
日向遼『埋められた匣』新風舎
秋生めぐむ『ディアレスト 〜君に捧ぐM〜』新風舎文庫
彬原希勇『白狼村妖怪伝』新風舎文庫
松田志乃ぶ『子猫のための探偵教室』コバルト文庫
TAKUMI『超能力鑑定士』新風舎文庫
海法潤二『風邪の中の殺意』社会評論社
初音奏『遠い風の記憶』東洋出版
山本悦子「おばあちゃんのメッセージ」偕成社『探偵クラブにようこそ!』所収
赤島回初『マッチュウの種』文芸社

 具体的には『ディアレスト 〜君に捧ぐM〜』『子猫のための探偵教室』『超能力鑑定士』『探偵クラブにようこそ!』の4作は表紙がイラストでライトノベル風です。しかし、市川尚吾はどうやってこんなマイナーな作品ばかりを拾い集めたのでしょうか……。

ディアレスト (新風舎文庫)

ディアレスト (新風舎文庫)

超能力鑑定士 (新風舎文庫)

超能力鑑定士 (新風舎文庫)

探偵クラブにようこそ! (きみも名探偵)

探偵クラブにようこそ! (きみも名探偵)

新作近況会雑感

 ミステリ作家がそれぞれ近作の紹介を行ったり、予定している新作の宣伝をしているコーナ。読みどころは後者で、来年に刊行が予定されている新作がすべてその通りに刊行されたらいいなあと、思わず夢を見てしまう。
 これは……! と特に期待に胸が膨らむところとしては、

石崎幸二「まずは講談社ノベルスの、女子高生二人組とサラリーマン石崎が探偵役のシリーズになると思います」「次に青春ミステリのようなものを。こちらは早川書房さんに声をかけていただきました」「そして『首鳴き鬼の島』の続編を書く予定です」
近藤史恵「初夏あたりに、今年出た『タルト・タタンの夢』(東京創元社)の続編がほぼ決まっています」「整体師探偵ものの続編を、詳伝社から文庫書き下ろしで」「早川書房で、サスペンス色の強いものを」「年末には、理論社のミステリーYA!から」
谷原秋桜子「今後の予定については何も申し上げられませんが、皆様のご期待に少しでも応えられるよう、精一杯努力してまいる所存です」
鳥飼否宇「予告してから思いのほか時間がかかりました『官能的─四つの狂喜』は、来年の早いうちには原書房より」「双葉社の「小説推理」誌上で連載した作品もたまりましたので、やがて単行本になるでしょう。『爆発的─七つの箱の死』というタイトルです」「講談社での初仕事は架空の会社(玩具メーカー)を舞台にした新シリーズで臨みたい、と思っています。仮タイトルは『人事系』」
東川篤哉「『もう誘拐なんてしない』という長編書き下ろしで、文藝春秋から」「烏賊川市シリーズの長編。『三日月池がどうしたこうした(仮)』というようなタイトルの作品で、こちらは光文社」
麻耶雄崇文藝春秋から『隻眼の少女(仮)』」
道尾秀介「「ジャーロ」に二回分載された『ラットマン』が1月に光文社から」「「メフィスト」で連載中の『カラスの親指-by rule of CROW's thumb-』は初夏に講談社から」「「野性時代」で不定期連載している連作短編は秋に角川書店から刊行される予定なのですが、もしかしたら冬になっちゃうかもしれません」
三津田信三「四月 刀城言耶シリーズの第四弾『山魔の如き嗤うもの』」「五月 新シリーズになるかもしれないホラー・ミステリ(?)を予定しています」「六月『禍家』に続く〈家シリーズ〉の第二弾」「七月 処女作『ホラー作家の棲む家』が文庫になります。おまけとして短篇「西日『ホラー作家の棲む家』その後」が入るので、お徳です!」「八月か九月『スラッシャー 廃園の殺人』に続く〈スラッシャー系シリーズ〉の第二弾」
柳広司「初のスパイ小説『ジョーカー・ゲーム』(仮)が、角川書店から、多分、夏ごろに出る予定です」

 ついつい、引用し過ぎてしまいましたが、楽しみなのですから仕方がありません。
 インタビューや座談会は、これからゆっくり読みたいと思います。来年のランキングも今から楽しみです。