雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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I-MY-ME_03

 僕は間をおいて、ゆっくりと答えた。
「多分」
「もう」
 なにがもう、なのかは分からないが、君が僕と同じ、美味しいものは最後まで取っておく派であることは、分かった。つまり、美味しいものを取っておくことで、苦しいものから手をつけることに我慢できるのだ。人は最後に美味しいものがあると分かっていれば、頑張れる。ところで、好き嫌いのまったくない人は、物の順序にまったく頓着しないらしい。すべてが同順であるが故に、食べ物を食べる順番も、宿題をこなす順番も、手当たり次第に、適当に行うそうだ。けれどそんなの、少し寂しくやないかい。
「あのね、私」
「うん」
「君のことがね……」
 君は言葉に詰まってしまう。ちょっとした沈黙が流れる。適当に相槌を打つべきか迷う。
「僕のことが、なに?」
「……好き」
「知ってる」
「いや、そうじゃなくて」
「え、嫌いなの?」
「ううん」
 君が首を激しく左右に振るのが、顔を背けていても分かった。
「だから……好き」
「いや、知ってるって」
「だから、その。友達として、とかじゃなくて」
「うん。ラヴの好き、でしょう?」
「……そう」
 君が顔を耳まで真っ赤にしているのが、顔を背けていても分かった。……多分。
 さて、なんと答えようか。


『君と僕との私の交換 第三話』533文字