雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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I-MY-ME_04

 と、迷っているそぶりをしてみたりして。実は答えなど決まっている。ここに呼び出された時点で決まっている。ただ、少しだけ意地悪に。
「条件があるけど、いい?」
「うん」
「自分のことを、私、って言うのはやめて。やめたら、付き合おう」
 君は少しびっくりしたようだ、息を呑んだ音が聞こえた。それから暫らく間を置いてから。
「分かった。これからは、私じゃなくて……僕、って言うように、努力してみる」
「うん」
「ただ、その代わり。君も女の子なんだから、自分のことを、僕、って言うのはやめて、私って言うようにして」
「それは……困ったなあ。でも、そうだね、努力してみるよ」
 もういいだろうと振り返ってみると、君にいきなり抱きしめられた。そして耳元で囁かれる。
「ありがとう、好きだ、愛してる」
 僕……じゃなくて私は、顔が耳まで真っ赤になったのを感じた。


『君と僕との私の交換 最終話』374文字