雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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引き

 手帳にこんな落書きがあった。

 引きの訓練。余剰と欠落。伏線は前者。漫画を読んでパターンを探せ。

 字が汚いのは慌てていたからか興奮していたからか。なんだかよく分らないのだが、引きについて考えてみよう。
 小説の中には、たまに“読ませてくれる”ものがある。ありていな言葉で言えば、「時間を忘れて読んでしまった」また「ついつい続きが知りたくなって止められない」なんて言葉で誉めるような小説のこと。で、自分は、ここにあるのは余剰か欠落。つまり、探偵が事件現場で意図不明なアイテムを見つけることで、読者にそのアイテムの必要性を考えさせる情報の余剰分。もしくはドラゴンとの決戦の直前で場面をガラッと変えて、読者に続きを早く読みたいと思わせる情報の欠落分のどちらかだと思っている。
 そう言えば、大人になっても少年ジャンプや少年マガジンを買いつづけている人の心理について。どうやら、話そのものには殆ど興味がないのだけれど、前号に続きが気になる漫画があって、その続きを知るためについつい買ってしまうそうだ。
 ところで自分が小学生だった頃、近くの日本語の本を売っている本屋では、『幽々白書』が1冊16ドルで売っていた。1600円。古本屋には1冊4ドルのがあった。400円。どちらも、1巻から揃っていると言うことはまずなく、大抵は3巻〜8巻〜9巻〜13巻、とバラけていた。そういった環境で育った場合、本は“何度も繰り返して読むべきもの”そして、“どんなに引きが強くても、一気に何冊も買えないので我慢する”というイメージが強烈に根付くのは当然ではないだろうか。だからか今でも、続き物を最初から読むことはほとんどなく、大抵は真ん中ぐらいから。金田一も、いきなり解決編から読む。


 話を戻そう。
 少年漫画における“引き”には何らかの法則があると思う。そしてそれらが強く働きかけられている少年漫画を研究することで、帰納法的に見出せるのではないかと思う。思う……と言うのはつまりあると思い込んであるわけだが、少なくとも5割以上の確実であると思う。そしてもしあるのならば、そこに存在する一連の法則、伏線というテクニックに代表される情報の過剰と欠落とが凝縮された描法を見抜かなければならない。
 漫画家は単体が偉いわけではなく、多くのアシスタントとのチームワークが偉い。シンクタンク、頭脳集団、策師、すなわち物語を考える人と、絵を描く人との連携が偉い。漫画家は馬鹿でも、彼らの頭はいい。漫画家の画法を、最大限にまで引き伸ばす技を修めている。そして、それを盗む。
 んー、言葉にしてみると、九分九厘ありそうな感じがしてきた。なんかできそうな気分になってきたなあ。よーし、暇人、やっちゃうよ〜?


(そして秋山真琴はすっかり安心して床についてすやすやと眠った)
(おいおい、今夜は漫画の一つも読まないで寝ちゃうのかよ)