- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/11/12
- メディア: 文庫
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が、結論としては今ひとつ。最後の一行で、それまでの記述のすべてが引っくり返されるフィニシングストロークは、途中でなんとなく予感してしまいその効果を十全に発揮しなかったし、あまりに多くの伏線を(むしろ最終章に至るまでのすべてが伏線と言ってしまっても構わない)回収するために、終盤付近は説明に尽きてしまっていて、なんとなくグダグダしてしまった感がある。
とは言え、嵐の山荘の内側から事件を語る万里と、外側から事件を追う刑事の三諸のふたりが、最後の最後で交錯する場面は圧巻だし、圧倒的な量の伏線を紡ぎそれを完璧に操りきっているのも素晴らしい。読書スピードが遅く、下手に邪推しないミステリ初心者にこそ相応しい一冊なのかもしれない。