雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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葦葉製作所『KSDungeon』

 レトロである。いわゆるウィズなのだけれど、作りが徹底的にレトロ。もはや分かる人だけしか分からない、嵌まる人しか嵌まらない、分からない人と嵌まれない人は理解できない境地に達している。まず、こんなゲームを制作してしまうことが凄いと思う。いやあ、葦葉製作所凄いよ。
 打ち上げで、テストプレイしたらしいスタッフさんが「いや、テストプレイしてるうちに嵌まるんですよ」と言っていたけれど、その通りだろうなあ、と。ウィズとかローグとか、最初の敷居が凄まじく限界まで高いけれど、一度、それを乗り越えてしまうともう他が見えなくなるからね。
 STGSTG、ウィズと三作続けてプレイさせていただいたのだが、『御神楽』と『KSDungeon』は、かなりゲームの本質に近いと思った。つまり、システムが非常に洗練されている。集団の中にあって、本当に努力している人ほどその努力が見えにくく、適当に処理している人が努力していると見られがちだけど、この二作品はプログラマの努力が飽和するにまで達していて、人を見る目やゲームを見る目がない人にまで「何か凄いぞ」と思わせられるぐらいシャープ。もう一点、『KSDungeon』にはスタッフの遊び心が見える。何かを作る上で、一番大切なのは「楽しんでいこう」という姿勢であり、それがプレイヤの目の前に差し出せるぐらい楽しんで作られたゲームは、プレイしている間中、楽しくて仕方がない。だってさあ、このゲーム、敵とかもう本当にありえないから。もう口に出して言うのが憚れるほど、アレなんだよ? 実は監修、渡辺さんでしょ、みたいな。
 ただストーリィが剥離しているのが残念だと思った。まあ、システムを追求しようとしているのなら、ストーリィはあるいは不要かもしれないけれど。物語をやっている人に、ストーリィとシステムを繋げてもらえば、さらに面白くなるんじゃないかなあと思う。