法的に自殺が許可された現代の物語。読み始める前は、現代人に「それでも生きる理由」を真摯に問いかける社会派かと思っていた。が、一読して驚いた。太字や大文字が
ライトノベル並に乱用されているし、また何とも悪趣味に人が死ぬのである。数ページから十数ページの短い掌編連作の形式を取っており、序盤はまだ笑いを取りに行こうというブラックユーモアの世界だが、物語が進むにつれどんどん
シュールレアリズムの領域に入るのである。特に結末が酷い。どうしようもなく後味の悪い落ちのはずなのに、笑いを取りにいっているからポップなのだ。悪趣味なことこの上ない。
面白かった。