シリーズ第2弾、初版は1987年発売。ニンテンドースイッチからリメイク版がリリースされた『J.B.ハロルド マンハッタン・レクイエム』を遊びました。
特にネタバレはしていません。
はじめに
シリーズ第1弾の『殺人倶楽部』が、非常に面倒だったものの物語それ自体は面白かったので、第2弾の『マンハッタンレクイエム』を遊びました。
遊びはじめて、わりとすぐに後悔することになるのですが……。
ゲームの感想
相変わらず操作は煩雑です。
容疑者の元から容疑者の元へ、跳ね回るように移動しながら、アリバイを聞き、証拠品を突きつけ、他の人物に関する情報を引き出します。
ひとり聞き終えたら次、またひとり聞き終えたら次。聞いていく中で、新たな情報を入手できたら、同じ人物でも聞き出せることが変化するので、また最初から。
この工程を、ひたすら繰り返します。ひたすら、ひたすら、ひたすら繰り返します。
前作『殺人倶楽部』を遊んだときも、あまりの辛さに「このシリーズは現代人には向かない」と確信したはずですが、どうして着手してしまったかと言うと。
とにかく物語が素晴らしい。
ここに尽きるでしょう。
ほぼ、すべての登場人物が、何かを隠していて、複雑な過去を持っています。
それらが多層的に折り重なり合い、お互いに影響しあっているので、ゲームの序盤、前半、中盤、終盤と、どんどん物語の様相が変わっていくのです。
そして、最終的に描き出される真相の美しいこと、美しいこと……。
ある種、芸術品のような完成されたミステリーを見たいから、また、この苦行に臨んでしまうのですよね。
と言うわけで、本作『マンハッタンレクイエム』も、前作に勝るとも劣らない素晴らしい出来栄えでした。
物語は前作の登場人物、サラ・シ―ルズの手紙がニューヨーク・マンハッタンから届くところから始まります。
そして、その数日後、彼女が飛び降り自殺をはかり、死亡したという報せが届きます。
現地の警察は自殺ということで片付けますが、事件を足で捜査するJ.B.は納得しません。単身、マンハッタンに飛び、聞き込みをはじめます。
そして、プレイヤーは、あのサラ・シールズが、同姓同名のサラ・シールズに保険金の受取人として指定しており、そのサラ・シールズも、また飛び降り自殺で亡くなっていることを知るのです……。
謎めいた自殺の連鎖……これは極上のミステリーの予感ですね。
捜査の進行に関しても、新事実が分かったり、新しい証拠品を入手したときに「あ、これ。あの人物に持っていけば、物語が進みそう!」と予測を立てて、見事的中したときは、テンションも上がります。
しかし、まったく予想していなかった人物から、ぽろりと情報が出るまで進捗しないときは、
そういうリアリティはいらないんだけどなあ……。
という気持ちになります。
まあ、この総当りを強要されるところは、シリーズの風物詩であると諦めるしかありません。
とは言え、前述の通りストーリーは極上ですし、途中、ある戦争について語られるのですが、当時のアメリカの空気を色濃く反映させたものでリアリティもあり良かったです。
終わりに
と言うわけで、遊ぶのは大変だけれど、苦痛に耐えて遊べば、素晴らしい推理ゲーム体験ができるゲームのご紹介でした。
推理ゲームが好きで、時間と心に余裕のある方には、特にオススメしたいです。