- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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なるほど、確かに本書は凄まじい。一部のコアなミステリファンが注目するのも道理。
雰囲気は麻耶雄嵩『神様ゲーム』を読んだときに感じたものに近い。何処か捻くれた、暑い夏の夕暮れと夜の狭間、実に不気味で居心地の悪い黄昏時が全編を覆い尽くしているような感じだ。描写そのものはふつうでも、次の瞬間に、実に嫌な、神経を逆なでするような、否応なく生理的嫌悪感を催させるシーンが待ち受けているのではないかという、嫌な予感が始終つきまとうのだ。
問題は結末だ。何だろうこの、舞城王太郎と乾くるみを足して二で割ったような邪悪な結末は! 救いも望みもないわけではなく、それがあるかどうかすら分からないのだ。ああ、気持ちが悪かった。寒気がする。しばらくは悪夢を見るのではないだろうか。節足動物にも近寄れなくなりそうだ。ぐええ。