ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件〈上〉 (徳間文庫)
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1989/06
- メディア: 文庫
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実は初橋本治であるため、彼が今までにもこういった作風の作品を物してきたのか、もしくはこういった一人称の思考だだ漏れなとも言える、ブログ的作品を書いてきたのかどうかは分からない。もし、本書で初めてこういった挑戦を行っているのなら、もしくは今までこういった作風で書いてきたとして、本書でそれが完成されていると言えるのなら、『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』そして『匣の中の失楽』に続く第五の奇書として挙げてもいいように思う。先行作品への言及も十二分にあるし、想像を絶する事件描写など、斬新な点は多いし。
ただ、読んでいて思ったのは、本書の主題は、推理小説よりも、その作風や主人公の様々な観にあるように思えてならない。したがって、奇書と言うよりかは、一風変わった青春小説と表現した方が的を射ているように思う。