として『このミステリーがすごい!』と『本格ミステリ・ベスト10』は最適ではないのかなと思います。
- 作者: このミステリーがすごい!編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/12/05
- メディア: 単行本
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- 作者: 探偵小説研究会
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2007/12
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このミス、本ミスの読みどころ
こういうランキング本の意義は二つあると思う。
ひとつは人気の本指南書としての意義、もうひとつはファンとしての楽しみ。
確かにランキング本の最大の目玉が、ランキングであることは言うまでもないでしょう。
最も多くの識者によって選ばれた、その年、最も優れた作品は何だったのか? それを数値化してくれるランキングは、ひとつの指針として確かに有用だと思います。
とは言え、本の趣味はひとそれぞれです。たとえば本の趣味がまだ定まっていないひとにとっては、ベストテンにランクインしている作品はすべて面白いかもしれません。けれど、ある程度、定まっていて、しかもその傾向があまり一般的でないひとにとってはどうでしょうか。ランキングはあまり参考になりませんよね。だとしたら、どうすればいいのか? 投票している個々人に目を向ければ良いのではないでしょうか?
「私のベスト6」と「MY BEST 5」
このミスと本ミスに投票権を持っているひとが、具体的に、どういう理由でどの作品に投票したのか。それが分かるのが「私のベスト6」と「MY BEST 5」というコーナです。
秋山個人としては、このコーナを読むためにランキング本は買っているところが大きいです。ただ単にランキングの結果を知りたいだけなら、書店で立ち読みするか、平台に展開されている本やポップを見れば分かりますから*1。
で、どうしてこれらのコーナが魅力かと言うと、投票している作品を見ていくと、自分自身と同じ本の趣味を持った評論家を発見できるからです。
同じ傾向を持つ評論家を探す理由とは?
端的に言って、より自分にとってお勧めの本を教えてくれる可能性が高いから、ですね。
たとえばミステリの場合、本格ミステリというのがあるのですが、ひとによってこの捉え方が極めて異なるのですよね。本格ミステリ観とでも言えばいいのか、ある評論家が「素晴らしい本格ミステリ」と勧める作品が自分にとっては全然、本格でないことがあるのです。
となれば、自分と傾向や本の趣味が異なる評論家のアドバイスを信じて、読む本を決めるのは極めて危険です。もちろん、既知の作家の新作だけを読んだり、新しい作家の開拓は自分でするのがいい! というひともいるかもしれませんが、月に刊行される新作のすべてを読みきる時間を持っているひとは稀だと思います。信頼できる評論家を、ひとりかふたりぐらい知っておいて、それらの意見を参考に、読む本に優先順位をつけるということは、忙しい本読みにとって悪くない選択だなと思います。
で、そのための手段が「私のベスト6」と「MY BEST 5」です。ざっと流し読みして、自分が好きな作品に投票しているひとがいたら、信頼に足る本読みとして、その後もチェックすれば良いと思うのです。
ところで、
私の希望としては、年間100冊以上課題図書(新人およびベテラン作家の新刊)を読んだ選考委員が10人ばかり集って、多数決ではなく三日三晩討論をして、陪審制のように全員一致をみた作品のみを上位に…って、それじゃあ文学賞選考会か。
を読んで「闘うベストテン」と「PLAYBOY ミステリー大賞」を思い出しました。
どちらも三日三晩も討論していないでしょうし、年間100冊以上読んでいるかどうかは分かりませんが、前者は6人、後者は3人が審議して選んでいます。いかがですか?
関連エントリ
- ミステリー&エンターテインメントベストテン発表(闘うベストテン2007の結果あり)
- ネタをネタと見抜けないひとには不向きなミステリランキング(第1回 PLAYBOY ミステリー大賞の結果あり)
*1:ちなみに秋山が雲上四季にランキングを転載しているのは、これが理由でもあります。ランキングという結果だけが知りたいひとは、立ち読みで済ませると思います。それ以外にコーナに魅力に覚えているひとは、ランキングの結果が流出しようがしまいが買うでしょう。