海外ボードゲームのルール日本語訳をネットで公開することについて、これまで「是」で主張を組み立ててきたが、状況が変わりつつある。
http://www.tgiw.info/2012/07/4_19.html
ショップや有志の善意に対し、対価を支払わないで利益を享受すること(フリーライド)への道義的な批判もある。さらに、有志によって公開されている日本語ルールは品質の保証ができないため、そのような和訳を前提にして商売するのは無責任だという声もある。
http://www.tgiw.info/2012/08/post_1234.html
一周遅れですが、少し前にボードゲーム業界を賑わした、和訳ルール問題について考えてみました。
知らないひとにざっくり説明
従来:ゲームの入手方法が少なかった/輸入したり、ヤフオクで購入するとルールがなくて困る
最近:ショップが充分に供給してる/ヤフオクで転売してるひとが不当に儲けている
シンプルにまとめると、こんな感じかしら?
問題を分かりやすく解体します
上記が問題とされる背景には、ショップのひとの利益減があるように思います。
たとえば、10ドル(≒1000円*1)のゲームがあったとします。これを100個ほど仕入れて、国内で2000円で販売したとします。すると粗利は10万円になります。この10万円を使って、ショップの土地代、従業員の人件費、その他、諸経費を払っていって経常利益が残ります。
一方で、同じ10ドルのゲームを、10個ほど仕入れて、ヤフオクで1500円で販売したとします。粗利は5000円です。仕入れから発送までの期間を約1ヶ月と仮定して、並行して10種類ほどのゲームを対応していけば粗利は5万円になります。諸経費や拘束時間を差し引いても、副業の収入としては悪くないかもしれません。
さて、質問タイムです
ショップに出かけて2000円でゲームを購入するのと、ヤフオクで1500円でゲームを落札するの。どちらを選びますか?
和訳ルールの立ち位置
こんな感じに問題を解体していくと、和訳ルールという存在は要素のひとつでしかないように思います。
だって、仮に、ネット上から和訳ルールをすべて撤廃できたとしても、転売しているひとが自分で和訳ルールを作って添付すれば同じですものね?
似たような現象は他の業界でも
最近、家具屋や家電屋はショーケースとして使用されている様子ですね。ソファの座り心地を確かめたり、扇風機の威力を店頭で確認してから、その場でamazonから購入して帰る、と。
他には書店で本が売れず、古書店が儲かったり、図書館の利用者が増えたりとかも、ある種の要因は共通しているような気がします。
ちなみに秋山個人としては
和訳ルールの公開はありですね。
実は、秋山自身、以前はヤフオクのディープユーザでした。一昨年、ボードゲームにはまりはじめたとき「一種類でも多くのゲームをやりたい!」と思い、ヤフオクで10万円くらい使いました。その際は、ネット上で公開されている和訳ルールには、ずいぶんとお世話になりました。
そういう過去を持つ身としては、ボードゲーム人口の裾野を広げる要素として、和訳ルールは極めて有用であるように思います。
こんなおまけがあったらショップで買う
なんか怒られそうなことを書いてしまったので、最後は提言で締めたいと思います。
最近の「ああ、これは良い企画だ!」は、ゲームストア・バネストさんの3000円以上、購入した方がおまけしてもらえる、みさき工房さんの無料ゲーム『アーシェラの寵愛』。
こういう企画は、とても良いですね。
別に大掛かりなものでなくとも構わず、なんかプロモカードが貰えるだけでもいいんですが、こういうおまけは、非常に魅力的です。
おわりに
好き勝手、書いてしまいましたが、実際にショップの方からすると死活問題ですよね。
ただ、こういう問題が浮上してきて、しかも「和訳ルールの公開は止めにして、皆、ショップで買おうぜ!」というユーザの声が上がってくるというのは素晴らしいことですね。愛を感じます。
*1:為替は面倒なので1ドル100円計算。