雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

好きなボードゲームあれやこれや、あるいはReinhold Wittigが与える衝撃

「どんな小説がお好きなんですか?」と問われれば「国内ミステリです」と即答しても心が痛まない程度に、国内ミステリは読んでいますし、愛もあります。
 しかし「どんなボードゲームがお好きなんですか?」と問われると、返答に窮してしまいます。
 今日は、そんな話をしてみようと思います。ええ、自分語りです。

小箱

 2010年末、ちょうどボードゲームを買い始めた頃、秋山の心を掴んでいたのは、いわゆる小箱でした。『ニムト』『コロレット』『ボーナンザ』『マンマミーア』『ハゲタカのえじき』『お邪魔者』……ちょっとボードゲームを知っているひとであれば、アミーゴの1500円の小箱は、誰でも見たことがあるのではないでしょうか。
 小箱コレクターとしては、海長とオビ湾さんという偉大なる先達がいましたが、その後に続きたいなと思っていました。
 小箱の魅力は無限大です。
 とにかく安い。そして、空間を占有しない。
 この2大メリットは、多少、ゲームが面白くなくても許容してしまいます。しかし、ある程度、小箱を揃えていくに従い、ほんとうに、心の底から面白いと思えるゲームは、そんなに多いわけではないなと思い始めました。むしろ、中には『UNO』を劣化させたようなものもあって、もはや小箱であることしか魅力でないゲームがありました。
 ひとつが色褪せれば、とたんに宝の山ぜんたいから魅力が失われるような不思議。繰り返し遊びたいと思う小箱だけを手元に残し、少しつづ処分を始めていくようになるのに、そう時間は掛かりませんでした。

クニツィア

 小箱と同じ時間軸で心酔していたのはクニツィア、そしてシャハトです。
 数学的な要素を内包するゲームに、ジレンマに縛られる苦しいプレイ感。それこそが当時の秋山にとって、ボードゲームの中核にあったものです。膨大な作品数を誇るクニツィアの全作を集めてみたい。けがわさんという偉大なる先達がいましたが、その後に続きたいなと思っていました……。と言うか、当時はオビ湾さんとけがわさんのブログばかり見ていました。
 心が離れてしまったのは、クニツィアの駄作に何回が触れた頃でしょうか。
 さらに、最近のクニツィアは揮わないという評価を耳にするようになってからは、もう駄目でした。クニツィアは好きだ、でも好きなのは面白いクニツィアであって、クニツィアの全作を好きになることはできない。
 愛がなかったことに気づいてしまいました。

デッキ構築

 小箱、クニツィアの次に目をつけたのは『ドミニオン』を含むデッキ構築でした。
 この頃は、ドミニオン木曜会(通称:木ドミ)にも何度か遊びに行きましたが、とにかくデッキ構築系のゲーム以外は、やりたくないと思うほど「デッキ構築」という概念を極めたいと考えていました。
 しかし、遊べど遊べど『ドミニオン』の素敵さに気づくばかりで、かつ日本には既に何十人もの『ドミニオン』好きがいて、いまさら空いている席はないように感じられました。

長時間ゲーム

 どんどん行きますよ。
 ある程度、ゲーム数をこなした後、凡作や駄作を10回遊んでも、素晴らしい達成感を味わうのは難しいと感じました。心の隙間に、そっと吹き込んできた暖かい風。それは長時間ゲームでした。
 具体的にはフリーゼとワレス。
『電力会社』『暗黒の金曜日』『ビール侯爵』『ファクトリーマネージャー』『ロンドン』『オートモービル』『蒸気の時代』……いずれも1日に何度もプレイできるものではないですが、脳が痺れるほどの快感でした。
 ただ、長時間ゲームのネックは、遊び終えてつまらなかったときですね。インスト含めて3時間も遊んで、なんとか勝てたものの、どうして勝てたか分からないし、もやもや感……というのを、何度か味わってから、ちょっとテンションが下がってしまいました。

カードゲーム

 長時間ゲームとタイミング的には同じくらいでしょうか。
 どちらかと言うと『ドミニオン』を諦めて、デッキ構築への関心が、そのままスライドするような形で『7Wonders』『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』『ヴォーパルス』『イノベーション』といった多様なカードを用いて、コンボを決める系のカードゲームを好み始めました。
 カードをスリーブに入れながら、効果を読んで「あれ、もしかして、このカード、さっきの、あのカードと相性がいいかな!?」と思ったりするのは、非常に楽しかったです。
 ただ、この手のゲームは、やはり繰り返し遊ばないと駄目ですね。そして繰り返し遊べば遊ぶほどに、運という厚い壁が見えてくるのです。麻雀と一緒です。手を広げて、三面待ちを作って上がれる確率を高める。でも、河を見れば待ちは透けて見えるので、誰かが切ってくれることは少ない、なのでツモるしかない。
 ほら、こう表現すると麻雀とドラフトって似てません?

惨劇RoopeR

 運と実力のバランスが素敵なゲームが、良いゲーム。そう思っていたのに、ドラフトゲームが麻雀のように思えてしまって、もうなにが面白くて、なにがそうでないのか、迷走していた秋山が出会ったのが『惨劇RoopeR』でした。
 改めて考えてみても、このゲームの斬新さは群を抜いていますね。あれだけプレイ時間が掛かるというのに、何十回と遊んだような気がします。
 露骨なパクり作品が出ないのは、やはり同人作品だからでしょうか。
 最近、あまり遊ばなくてしまった理由は、なんででしょうかね。時間が掛かるからか、ひと通り遊びたいひとは遊んでしまってインストを求められることがなくなったからかな。第2拡張は、まだほとんど遊べてないので、遊んでみたいとは思うんですけどね。特に主人公側で。

ゲーム会主催

 特に昨年の後半ですが、ボードゲームそれ自体を遊ぶというより、ボードゲームを遊ぶ会を主催することの方が面白かったような気がしますね。
 なんか次元が違うような気がしますが、その時々でいちばん面白いことに全力で取り組むというスタイルなので、まあ、いいじゃないですか。

同人

 ミスボドを開催しながら、いちばん心を掴んでいたのが同人ゲーム全般ですね。
 ゲームマーケットを逃したら、二度と入手できない希少性と、遊び手が少ないこと、作り手が身近な存在であること。
 元々、秋山自身、同人小説や同人ゲームを作っていたこともあり、同人ボードゲームに対する親近感は強めでした。なんとなく過去形で書いてしまいましたが、愛は、今も継続しているので、もうしばらくは同人ボードゲームは積極的に買って、積極的に広めていきたい所存。

Reinhold Wittig

 前振りが長くなりましたが、先日、フランクコスモスというコスモス社の前身からリリースされた『Wabanti』というゲームを知りました。
 革製のボードに、蜂の巣状に六角形が描かれ、そこにコマとして工具のナットを並べていくのです。革にナットに蜂の巣……このおしゃれ感……!
 プレイ中の風景を撮影した写真をネットで見つけましたが、ナットが描き出す奇妙な図形が、実に趣深いです。ルールもシンプルでありながら、中々に奥深く、面白そうな気配に満ちています。機会があれば、プレイしようと心に決めました。


 また、ある時、ネットでボードゲームの記事を見回っていたら『ダス・シュピール』というゲームを知りました。
 200個以上の木製ダイスを使ったゲームで、60種類くらいのルールがあって、色々な遊び方ができる、言ってみれば『古代ローマの新しいゲーム』のダイス版みたいな。
 しかも、このゲームもフランクコスモスから発表されていると知って「フランクコスモスは洒脱なゲームばかり出していたんだなあ」と嘆息した次第。コスモスというメーカーに今まで思い入れはありませんでしたが、なんだか途端に愛着を覚え始めます。
 機会があれば、是非プレイしたいと胸に誓いました。


 いえ、胸に誓うも何も『ダス・シュピール』は、単なるダイスゲーです。ルールによっては、ありあわせのダイスで遊べるかもしれません。そう思って、グーグル先生に聞いてみた秋山は、衝撃の事実に気がつくのです。
『Wabanti』と『ダス・シュピール』は、どちらもReinhold Wittigというデザイナーによる作品であったのです……!
 Reinhold Wittig! 初めて聞く名前です。2年間がっつりボードゲームに興じてきて、寡聞にして、一度も聞いたことのない名前です。と言うか、ひとりのデザイナーが『Wabanti』と『ダス・シュピール』と、見た目が極めて優れているゲームを作っていることに驚きです。一体、何者なんだReinhold Wittig……、そんな秋山が辿り着いたのが……、

ネット上でこの人のゲーム、「Wabanti」や「Baubylon」なんかを見たとき、ビビッと電気が走ったのを感じました。そういう時はえてして私の感性とベストマッチした時なので、もう有無を言わさず彼の作ったゲームが気になりだし、ネット中を巡って情報収集し、ゲームを購入したりしました。

http://www2d.biglobe.ne.jp/~ks_wca/text/text41.htm

さて、Reinhold Wittigの話に戻ります。彼もまた著名なドイツのボードゲームデザイナーの一人です。とは言え、日本のボドゲーファンの間でも有名なクラウス・トイバーやライナー・クニツア、アレックス・ランドルフといった傑作を次々生み出しているデザイナーと比べれば、全然マイナーな存在、ドイツではそこそこ有名でも、ここ日本では全く知られていない人物の一人と言っても過言ではないでしょう。


 Reinhold Wittigの熱狂的(?)ファンが、ネット上に、その作品を写真入りで、事細かくレビューしていたのです!
『Wabanti』と『ダス・シュピール』だけではありません。どの作品も、明るいキャピキャピした色を使わず、シックに、セピアに、趣深さを遺憾なく発揮しています! 特に群を抜いているのが『Cubus』です。素晴らしい……もう、アートだけで、素晴らしい作品であることが約束されています。『Muller & Shon』の白と黒で統一されたアートワークも幻想的で、素敵です、山尾悠子の世界です。『Baubylon』も傑作感しか漂わせていません。これは机上に再現できる迷宮です。『Rapa Nui』も圧巻です。だって、ボードの上に台! 台の上にダイスです! しかも、このダイスが、また下品な白ではなく、落ち着いた紳士のモスグリーンです。素晴らしい、素晴らしい……。

それはさておき、Edition Perlhuhnはこうして日本からの注文も大歓迎なので、何か欲しい物があるというなら今のウチかもしれませんよ。

http://chenjesu.seesaa.net/article/138686065.html


 超文学フリマに出展したり、ミスボド合宿を開催したり、しばらくは懐が心許ないので、物欲に駆られるままにReinhold Wittig作品を買い集めることは、残念ながら今は出来ません。
 しかし、夜中に、ふと見つけたひとつのゲーム写真が、眠れない夜を生み出したことを、覚書のように残しておこうと思います。そして、今日のところは、とりあえず、Reinhold Wittigの作品を買い集めたいと決意表明しておきます。首尾よく入手した暁には、是非、遊びにつきあってください。もしくは持ってるひとは、遊ばせてください。

おわりに

 なんだか、この手の自分語りは久々です。気恥ずかしいですね。
 では、また、いずれ。