自信を持って頒布したい同人誌があるとして、どうやってアピールすればいいのでしょうね。
なかなかに難しい問いですが、とりあえず今回の試みとしては、こんな風に、定期的にエントリを書いて、少しずつ読んでくださる方の期待を高める方向にて進めたいと考えています。よろしければTwitterで面白そうと呟くなど、可愛がってあげてください(露骨なお願いだ……。
ランチミーティングとは
「面白い小説を集めました」をキャッチフレーズとする、短編小説アンソロジィ『幻視コレクション』ですが、試みのひとつとして、締め切り前に参加予定者と美味しいものを食べながら会話をする時間を設けることにしました。
初回は京都にてディナーミーティングを開催し、今回のランチミーティングは東京にて開催しました。
会場のご案内
第1回ランチミーティングの会場としてセレクトしたのは、東京駅丸の内口を出たところにある小岩井フレミナール 丸ビル店です。
店名からも想像できるように、小岩井農場直営の洋食レストランで、牛肉、牛乳、バターなどに自信があるそうです。お店は丸ビル五階という好立地に入っており、大きな窓からは、昨年10月に復原工事が終わったばかりとなる赤レンガの東京駅を見下ろすことができ眺望も抜群です。
ランチコースはオードブル、サラダ、スープ、メイン、デザート、コーヒーで2000円を割る価格設定となっており、非常にリーズナブル。
この日、お集まり頂いたのは言村律広さん、佐多椋さん、高村暦さんに秋山の4名。だいたい2時間ほど、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、近況を報告しあい、執筆中の作品について意見を交換しました。
ちなみに写真はメインディッシュが届いたところで撮影しました。
人を撮るとき、生気が失せたように映してしまう
高村さんはミーティングまでに、構想の3分の1から半分ほどを書き終えたものを事前に共有して頂きました。奇妙な性質を持った写真家を語り手とする文学性の高い作品で、非常に抑制の効いた、フラットな文体でした。
写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンや芸術家森村泰昌の話を伺いつつ、目指しているもの、描き出そうとしているものを教えて頂きました。結末に関しては、大きく二通り考えられているそうで、書き進めつつ着地をどうするか決められるそうです。
語り手がどのような選択をするのかが興味深い物語でもあるので、著者自身も結末を決めてしまわずに書いているというのは面白いですね。
不可解と不可解の掛け算
すでに超短編の分野において、多くの実績を持っている佐多さんですが、最近は円城塔を何冊も読んでいるということで、システム性をモチーフに、やや実験的な小説を書かれました。
事前に送って頂いたのは、外枠だけ完成させたもので、後は内側を作りこんでいくという段階で、話の大筋としては、コーディングとパブリッシュをひたすら繰り返し、結果を見定めていくというものですが、少しずつ不気味に歪んでいくのが怖いです。
不可解であるからこその閉塞感の反対には、理解による解放がありますが、このバランス調整は、非常に難しいです。理解が皆無であれば、それは単なる意味不明な文章の羅列に過ぎず、雰囲気を楽しむだけになってしまいますし、かと言って分かりやすくさせすぎると陳腐で幼稚な作品になってしまいます。
外側の強度はあるので、後は内側でしょう。期待で胸が膨らみます。
序盤のインパクトと今後の取捨選択
京都のディナーミーティングに次いで、東京のランチミーティングにも参加してくださった言村さんは、まだ考えだした世界観の欠片を、どう繋ぎ合わせるか模索を続けている段階でした。最近は歴史小説を、よく読んでいるということで、設定の作りこみに力を注いでいるのは、その影響かもしれません。
言村さんは、しかし、難しいですね。いくつかの構想から、ひとつを選んで、それに焦点を当てて軸を通せば、ひとつの物語として無難に完成しそうです。その一方で、今ある構想を、すべて圧縮して軸を通せば、それはそれで物語として完成しそうでもあります。
ただ、どちらを選ぶにせよ、締め切りが一週間を切っている現状、果たして間に合うのかどうか。そちらの方が心配です。
5作中4作について
今日に至るまでの間、吉永さんを除く、四方の作品を読ませて頂きましたが、良い具合に分散しているという印象です。多少、我田引水感がありますが、無理やりに表現するなら、こんな感じでしょうか。
これからの幻コレ
今後のスケジュールをお知らせします。
9月30日に締め切り、10月中に編集作業と入稿、11月4日(祝・月)文学フリマの雲上回廊ブースにて発行、となります。
帰り道
小岩井フレミナールを出た後、展望台から赤レンガの東京駅を撮影してみたのですが、帰路、地上から撮影した方が、きれいに撮影できることに気が付きました。
と言うわけで記念に東京駅の写真も掲載しておきます。