だいたい2週間ほど掛けて、劇場版コナンの第1作『時計じかけの摩天楼』から最新作まで一気に追いました。
せっかくなので独断と偏見で、特に面白かった5作をランキング形式で紹介します。未読の方向けにネタバレはしないよう注意しています。
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とは言え、
どの作品も良くて、たとえば第1作の『時計じかけの摩天楼』は、最もオーソドックスと言うか、爆弾魔である犯人の掌中に毛利蘭が囚われてしまい、爆弾解体を軸にコナンが犯人と対決するという図式は王道であるが故に大きな感動がありますし、毛利小五郎と妃英理が別居するきっかけとなった人質事件において、毛利小五郎が何故、妻の英理が犯人の腕の中にいたのか躊躇なく発砲することができたのか? という問いが最初に投げかけられる『14番目の標的』はラストが感動的ですし、実在の歴史上の人物が登場し、また劇場版に怪盗キッドが初登場したことでも知られる『世紀末の魔術師』は舞台設定やカラクリ仕掛けに隠された謎が美ですし、黒の組織を相手に江戸川コナンが自らの正体に迫られそうになりつつも、手に汗握る展開が連続する『漆黒の追跡者』は最後に喝采をあげましたし、真冬の雪山が舞台の『沈黙の15分』は、もし映画館で観ていたならばあの静寂に心臓が止まるくらいの絶望を覚えたのではないかと思いますし、国レベルの陰謀に巻き込まれる『絶海の探偵』の、大海原に対する無力感には打ちひしがれるものを感じましたし……まあ、どの作品も良いわけです。
でも、そんな中でも、特に……特にこれは良い! と断言できる5作を紹介します。
第5位『探偵たちの鎮魂歌』
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記念すべき10作目と言うことで、毛利小五郎や目暮警部といったいつものメンバーに加え、大阪組の服部平次に遠山和葉、怪盗キッド組の怪盗キッドと白馬探など、豪勢です。
事件もシリアス度が高く、蘭や少年探偵団が人質に取られた状況で、毛利小五郎や服部平次たちが「今から12時間以内にある事件を解決してもらいたい。出来なかったら人質を爆破する」と正体不明の依頼人から突きつけられ、不条理な状況に陥れられます。
果たして12時間以内に事件を解決できるのか? そもそも依頼人の正体とは? 様々な謎を、探偵たちが手を取り合って協力していく図式は、まさに10周年記念に相応しいものです。
ネタバレありの感想は以下。
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第4位『迷宮の十字路』
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西の高校生探偵、服部平次が大活躍する回です。
服部平次という存在は『名探偵コナン』という作品において、とても興味深い存在です。江戸川コナン(=工藤新一)は、作中において普段は毛利小五郎を眠らせて事件を解決する、絶対的な存在です。であるが故に、コナンは孤独で、その推理には責任がつきまといます。そして、服部平次は、おそらくはコナンの唯一の探偵的理解者であり、同レベルの推理力を持つという観点では相棒であり、また好敵手でもあるという稀有な存在です。
そんな服部平次に焦点を当て、コナンとの共闘を描きつつ、彼自身の初恋の物語を深めていくという、平次ファンでなくとも必見の一作です。個人的には京都が舞台だったので、鴨川や先斗町など、見慣れた町並みが描かれているのも嬉しかったです。
ネタバレありの感想は以下。
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第3位『ベイカー街の亡霊』
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服部平次がコナンと並び立つ存在であるならば、工藤新一の父、工藤優作はコナンの上を行きながらも、彼の成長をあたたかく見守る、まさに理想的な親であると言えるでしょう。
この作品は、仮想空間上のベイカー街に囚われたコナンが、19世紀に実在した殺人鬼であるジャック・ザ・リッパーやホームズの宿敵であるモリアーティ教授と対決しつつ、現実世界では、ほんとうに起こった事件を工藤優作が解決するという二重構造が素晴らしく、根底に横たわる自己犠牲というテーマと相まって、ほんとうに上質な作品に仕上がっています。
仮想空間上ではありますが、霧けぶるロンドンを歩き回るシーンは、けっこう雰囲気がありますし、工藤新一が愛してやまないシャーロック・ホームズの住まいを訪ねるシーンも、けっこう好みです。仮想空間だけでなくAIという要素も含まれるので、ミステリ好きだけでなく、SF好きにも勧めたい、他の劇場版コナンとは一線を画す傑作です。
ネタバレありの感想は以下。
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第2位『水平線上の陰謀』
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第2作『14番目の標的』と共通点の多い作品です。たとえば海上が舞台であったり、たとえば毛利小五郎に焦点が当てられていたり。そう、この作品の主役は、普段は、眠りの小五郎として、コナンの傀儡となっている毛利小五郎なのです。
物語は15年前の事件から始まり、そのときの想いが現在に繋がってくるという構造ですが、ミステリパートが非常によく出来ており、アリバイ崩しが本格的です。また、海上という舞台を活かし、緊迫感のあるシーンも多く、中盤以降、最後まで手に汗を握り続けることになり、観終えてからもしばらくは興奮が覚めませんでした。
事件を含め物語全体の完成度、最後の意外性とクライマックスの盛り上がり、あらゆる点において完璧で、この作品を1位にすべきかどうか最後まで悩んだくらいです。と言うか『ベイカー街の亡霊』も充分に傑作で、上位3作は、ほとんど差がなく、後は好みの問題な気がするんですよね。
と言うわけで、栄えある1位は──!
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第1位『瞳の中の暗殺者』
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はい、これです『瞳の中の暗殺者』傑作中の傑作です。
や、正直、計画が意外に杜撰だったり、犯人が途中から豹変しすぎたり、逃走劇に無理があったりと瑕疵の多い作品だとも思うのですが、そういうマイナス的なところを、すべて忘れてしまうくらいに、良いところが抜群に、圧倒的に良いんですよね。
本作のメインは、ずばり『名探偵コナン』のヒロインにして毛利蘭です。彼女を中心に事件も物語も進みます。
最初は、わりとふつうな出だしでした。警察関係者ばかりが連続して殺されるという不可解な事件が発生し、「もしかしたら犯人は警察内にいるのでは? 上から圧力でおおっぴらに捜査もできない??」みたいなきな臭い感じなのですが、中盤の怒涛の展開で、えっ、えっ? えええええ!? ええええええええええ!!??? と、もう絶叫ですよ。
繰り返しますが、瑕疵の多い作品ですよ。
絵も今風ではありません。
でも、ですよ。
約束します。
これを観たら、絶対にコナンが好きになる。
間違いないです。
それくらい感動するし、もう傑作を越えた名作です。
いや、ほんと、この先、シリーズ作がどれだけ重ねられても『瞳の中の暗殺者』を越える作品は、もう無理じゃないですかね。この後も、毛利蘭は、毎回なんだかんだ言って危機に陥りますけれど、この作品以上はありません。
ネタバレありの感想は以下。
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終わりに
と言うわけで、独断と偏見で選ぶベスト5でした。
振り返ってみると、4作目から10作目の中に集中してしまっていて、11作目以降は、ひとつも入っていませんね。でも、最近のも悪くないですよ。特に『絶海の探偵』と『から紅の恋歌』は好きです。
ただ、秋山の趣味嗜好を省いても、今回、紹介した5作は、いずれも素晴らしい作品で「コナンなんて子どもが観るものでしょ?」そう思っている方も楽しめること請け負いです。是非、お試しあれ。
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劇場版『名探偵コナン』他の作品の感想に関しては、こちらにまとめていますのでご覧ください。