雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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「エンペラーズ・チョイス」を遊びました

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 OKAZU brandさんのゲームマーケット2017春の新作『エンペラーズ・チョイス』を遊びました。
 海外にもその名が轟くほど、有名なボードゲームデザイナーと言えば誰でしょうか?
 いちばんは『ラブレター』のカナイさんかもしれませんが、その次は、きっとOKAZU brandの林さんでしょう。


 ここ数年は『ゴー・ダッ・チーズ』『はんか通骨董市』『オキドキ』と完成度の高い軽量級ゲームをリリースする一方、『ミネルウァ』『横濱紳商伝』とプレイ時間1時間以上の重量級ゲームを発表していた林さんですが、『エンペラーズ・チョイス』は、重量級にカテゴライズされるゲームの最新作となります。
『横濱紳商伝』が非常に面白かっただけに、かなり期待して掛かりました。


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 2回遊びました。
 3人プレイで1時間45分。5人プレイで2時間20分。


 舞台は紀元前221年。中華統一を果たした秦王は始皇帝を名乗り、様々な改革や大規模事業を進めていきます。プレイヤは始皇帝の有力な部下となり、武将や宮廷内の人脈などを得て、始皇帝に様々な政策を具申して、功績をあげていきます。6ラウンドを経て最終的に、最も多くの功績をあげたプレイヤが勝利します。
 各ラウンドは競り、内政、詔勅(しょうちょく)の3フェイズから形成されており、プレイヤは自分の手駒として動かせる将軍や皇帝の血縁者を使って手番順を競り、その手番順に従って内政を行いタイルを獲得し、その時点で最も皇帝の信頼の厚いプレイヤがそのラウンドに施行される政策を決定することができます。


……と、書くと、やりたいことがいっぱいで、しんどいゲームのように読めるかもしれませんが、プレイ感自体は、けっこう軽く感じます。
 と言うのも、ランダム性が高いからです。
 各ラウンドにおいて雇用できる人材は、毎ラウンド、山札から並べ直されますし、獲得できるタイルもラウンドごとに袋からランダムに取り出します。従って、その場その場における最適解と言うか、何をすれば良いのか? は、わりと明確です。


 その一方で、ゲーム全体を見渡したときの見通しという観点では、立てにくいです。
 前作『横濱紳商伝』の場合は、タイルをランダムに配置した時点で、
「あー、なるほどね、あそこにあれがあるから、最初にああして、次にこうすれば、こうなるから、最後にああできるように、こうプレイしていこう」
 と計画を立てやすいです。『アグリコラ』や『テラミスティカ』などのゲームも同様の特徴がありますね。
 これらの最初だけランダムで、後はすべて見えている系のゲームは、経験の差や慣れ不慣れが、露骨に点数に直結し、遊びこめば遊びこむほど点数が伸びるので、凝り性な方には向いていますが、そうでない方は充分に楽しみきれないという課題があります。


『エンペラーズ・チョイス』はその点、ランダム性が高いので、この問題は払拭されています。
 どんなに「よし、今回は儒家を掲げ、将軍を採用し、匈奴を駆逐するぞ……!」と決めたとしても、袋から儒家タイルが出なかったり、山札から将軍がめくられなければ、その決意を完遂することは出来ないからです。


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 秋山自身は凝り性な性格なので『エンペラーズ・チョイス』よりも『横濱紳商伝』の方が好みに近いですが、それでも充分に面白かったと感じましたし、そもそも林さんのデザインそれ自体が好きなので、『横濱紳商伝』とは方向性が異なるけれど、ちゃんと一定の完成度を保っているという点において、デザイナとしての能力の幅広さを感じられ、感動しました。
 インスト込みで2時間から3時間と、そこそこの重量級ではありますが、国産のゲームで、ここまで完成度の高いゲームは他に類を見ないので、是非、遊んでいただきたい一作です。

エンペラーズ・チョイス

エンペラーズ・チョイス