脱出を始めて3ヶ月、いろいろ合わせて50脱出くらいしていました。
こんにちは、秋山です。
脱出の面白さは一回性である
毎週末のようにリアル謎解きゲームに興じていたら、ボードゲーム仲間に「脱出の何が面白いんですか?」と聞かれることが増えてきて、毎回、回答を考えるのが面倒になってきたので、ここでいったんまとめておきたいと考えました。
しばらく宙をにらみながら考えた結論が、これです。
脱出の面白さ、それは、その一回性です。
一回性とは?
なんとなく思いついた言葉が一回性なので、その本来の意味は、あんまりよく分かっていません。
ここでは、一回性=人生で一度しか得られない体験のことを指しています。
考えてみれば、世の中にある多くの趣味は、繰り返しの体験が可能です。小説にせよ、音楽にせよ、映画にせよ、スポーツにせよ、多くの趣味は何度でも体験が可能です。むしろ、複数回、体験することによって、その面白さを、より深いレベルで感じ取ることができるようになってきます。
もちろん、最初の一回は新鮮です。小説だって、一読目は読むことで新鮮な驚きを得られます。音楽も映画もそうです。でも、これらは望めば、何度でも体験することができるのです。小説を読み返すことは誰にも否定されないし、ひとつの音楽をヘビーローテーションすることは至極当然のことです。映画だって、同じ映画を観るために、何度も映画館に足を運んで構いません。
でも、脱出は違います。
多くの脱出は、再挑戦の禁止を謳っています。
偽って、こっそり再挑戦することも不可能ではないでしょう。でも、それで、ほんとうに楽しめるのか? 秋山は楽しめません。
尊敬する人間の共通点
誰にでもいると思うのですが、尊敬する人間が何人かいます。彼らにはある共通点があります。あるいは、ある条件を満たした人間のことを尊敬するのかもしれませんが、その共通点とは、物事に対して真摯な態度で向き合うことです。
趣味が合わないので、あまり会って話すことはないのですが、高校時代の友人をひとり尊敬しています。彼は頼まれたらNOと言わない性格で、だいたいへらへら笑っている、クラスで中心となる人物ではありませんでした。しかし、あるとき身体のある器官を壊し、生死の境をさまよいました。ほんとうに危ういところだったのですが、無事に生きて帰ってきた彼は、入院する前とは別人でした。彼はあるとき、こんなようなことを言っていました「自分は明日、死んでもおかしくない身体になってしまった。一分一秒が惜しい、もう誰にも自分の人生を譲るつもりはない」。
なんか話が大きくなってしまいましたが、なんとなく伝わるでしょうか。
リアル謎解きゲームが提供してくれるのは、人生で一度限りの60分なのです。その60分は、生涯において二度と訪れない、真剣にならざるをえない60分なのです。この60分を、秋山は心の底から愛します。
好きな人狼は短期村
ここで、いきなり人狼の話になります。
秋山にとって最初の人狼はE国で、つまりはWeb人狼の長期が最初の体験です。ここ何年かWeb人狼はやっておらず、対面人狼を時々、付き合いで遊ぶ程度ですが、いちばん好きな人狼はと聞かれたら、迷うことなく短期と答えます。
短期人狼と言うのは、だいたい昼が7分、夜が3分、10分が1日のWeb人狼です。人数にもよりますが、早ければ30分、長くても1時間くらいで終わります。この30分から1時間の時間は、ほんとうに濃密で、ドーパミンがドバドバ放出されます。もう、ほんとうに心臓がバクバク言って、鼻血が出るんじゃないかってくらい高速に思考します。
大事なのは後悔しないこと
「知らないひととチームを組んで迷惑を掛けるのが嫌だ」を言い訳に、自分が恥ずかしい思いをするのを避けたい。というのは、とても些末な問題です。もちろん、謎は解けた方が良いです。チームに貢献できた方が良いです。
でも、解けなくたって、進行が遅ければ、スタッフが様子を見に来てくれて、さりげなくヒントやアドバイスを与えてくれるのです。もちろん、そんなスピード感だったら、とても脱出成功には至れないのですが、その寸前までは行けるので、達成感や充実感は味わえます。
しかし、達成感や充実感はリアル謎解きゲームの面白さの片鱗に過ぎないと思います。
リアル謎解きゲームの何が面白いって、それは真剣になれるってことです。限られた60分を、一秒たりとも無駄にせず、チーム一丸となって、協力して、脱出成功というゴールに向けて、全力で疾走すること。その体験それ自体を、秋山は面白いと思います。そして、その面白さを得る上で、絶対に嫌なこと。それは、途中で諦めて、後悔することです。
ただ全力になりたいだけ
リアル謎解きゲームを彩るキャッチフレーズのひとつに退屈な日常からの脱出というものがあります。
要は、これなんですよ。
惰性で生きることができてしまい、それが許されてしまう退屈で冗長な日常から、60分間だけでいいんで目を覚ましたいのです。
別にサボっているわけではないですが、適度に仕事して、適度に給料を貰い、適度に安定した人生の中で、目が覚めるような体験をしたい。言ってみれば、ただ、それだけのことなのです。
オススメの脱出をご紹介します
なんだか若気の至り、みたいな青い文章を書いてしまいましたが、このエントリを読んで「ちょっと脱出に挑戦してみようかな?」という方に、四つほどオススメのゲームを紹介したいと思います。
一つ目はSCRAPの『Escape from the RED ROOM』、通称「赤い部屋からの脱出」です。
「○○からの脱出」からと謳われる多くのリアル謎解きゲームは、しかし実際に閉じ込められるわけではありません。他のプレイヤとひとつのテーブルを囲み、パズルや暗号の書かれた紙を解いていって、最後の謎を解くことができれば脱出成功。そんなものがほとんどです。しかし、この『Escape from the RED ROOM』は、実際に閉じ込められます。そして「特定の言語に依存した謎を一切排除した、新感覚リアル脱出ゲーム。脱出に必要なのはあなたの閃きと直感のみ!」というキャッチフレーズの通り、日本語をまったく使うことなく、算数をまったくすることなく脱出することができます。
『Escape from the RED ROOM』はアジトオブスクラップ浅草とアジトオブスクラップ名古屋の2箇所で遊ぶことができます。超オススメです。
二つ目はハードナッツの『謎めく時の神殿』です。こちらは、ナムコが運営しているリアル謎解きゲームの常設展、なぞともカフェ新宿店に設置されているCUBEのひとつです。なぞともカフェは入店無料の喫茶店で、設置されているCUBEに対し765秒1080円で挑戦したり、コーヒーや軽食が楽しめるお店です。
数あるCUBEの中で、なぜ『謎めく時の神殿』がオススメかと言うと、それは物量がありながら、謎の難易度が低いことです。脱出率も秋山が見たときは70%を越えていて、実際に2人で挑戦して、1分以上、時間を残して脱出することができました。でも、歯ごたえがなかったかと言うと、そんなことは全然ありません。前述の通り、かんたんな謎が山ほどあるので、とにかく片っ端から解いていくという快感を得ることができるのです。
「今までにまったく見たことのない斬新な謎を解きたい!」という方には向かないでしょうが、まずはひとつでも謎を解きたい、脱出したいという方には、自信を持ってオススメします。
三つ目は謎組の『燃える密室』です。こちらも、ナムコ運営のなぞともカフェ新宿店に設置されているCUBEです。トイレにいたところ、いきなり火事が発生し、そこから脱出しなければならないというシチュエーションなのですが、とにかくストーリーと謎がよい具合に噛み合っていて、難易度も絶妙です。
秋山自身は、最後まで辿り着くこともできず脱出失敗に終わったのですが、それでも予想の斜め上だった解法に加え、爽快感すら覚えるアフターストーリーが魅力で、遊んできたリアル謎解きゲームの中では五本の指に入る傑作ではないかと思います。是非、『謎めく時の神殿』と合わせてプレイしていただきたいです。
最後はSCRAPに戻って『巨人に包囲された古城からの脱出』です。大人気の漫画『進撃の巨人』とのコラボ脱出で、10人1チームとなって挑戦するルーム型の脱出です。ルーム型の脱出の中では、ひときわ高い完成度ではないかと感じており、SCRAPのアジトで遊ぶことのできる脱出の中では、いちばん好みかもしれません。残念ながら脱出はできませんでしたが……。
『進撃の巨人』人気にあやかっているのか、SCRAPが自信作だと自負しているのか、現在は、下北沢、横浜、名古屋、大阪、岡山、札幌、仙台、福岡で遊べます。脱出は好きだけど『進撃の巨人』を知らないので敬遠する、は絶対に損です。
以上です。
一回性に関するくだりで書き忘れましたが、リアル謎解きゲームの特徴のひとつに、その公演期間が限られているところがあります。演劇も同じですが、その機会を除くと再演されない限り二度と遊べないのですよね。
SCRAPのアジトやなぞともカフェのCUBEのような形であれば、長期に渡って遊ぶ機会がありますが、そうでないものは、ほんとうに一期一会です。
と言うわけで、謎制作団体単位でオススメしておくと、筆頭はAnotherVisionです。参加できた公演は『ロンリーコロニー』だけですが、エレベーターに乗った瞬間から、世界観に没入できるような演出で感動しました。
他には「世界観のあるドラマチックな謎解きを」をキャッチフレーズとしているよだかのレコードは、謎とストーリーが深いレベルで絡み合っていて好みです。後は、わいわいがやがや楽しい! という観点において、NAZOxNAZO劇団でしょうか。また、まだ遊べていませんが、ミステリーナイトも非常に豪華であると聞いて、いずれの挑戦を楽しみにしています。
オススメの練習
「気になるけれど、まずはひとりで練習しておきたい!」という方は、SCRAPの出している本を買って練習するのも良いと思います。
- 作者: SCRAP
- 出版社/メーカー: スモール出版
- 発売日: 2013/09/27
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- 作者: SCRAP
- 出版社/メーカー: SCRAP出版
- 発売日: 2016/06/30
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- 作者: SCRAP
- 出版社/メーカー: SCRAP出版
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終わりに
と言うわけで長くなりましたが、リアル謎解きゲームの面白さについてでした。
どこかの公演の、どこかのチームで一緒になりましたら、どうぞお手柔らかにお願いしますね。では。