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サム・ライミ版三部作の最終作『スパイダーマン3』を観ました

 サム・ライミ監督によるスパイダーマンシリーズの最終作『スパイダーマン3』を観ました。
 ざっくりネタバレします。

スパイダーマン3 (字幕版)

スパイダーマン3 (字幕版)

 MARVELのヒーロー映画の中で、いちばん最初に観たのは『スパイダーマン:ホームカミング』です。なのでヒーローの中でも、特にスパイダーマンは思い入れがあります。
 マーベル・シネマティック・ユニバースには含まれませんが、同じスパイダーマンという題材を、どう料理しているのか気になって観た『スパイダーマン』は傑作で、一気に『3』まで観ました。トビー・マグワイア演じるピーター・パーカーと、キルスティン・ダンスト演じるMJを、もう観られないことを思うと、寂寥感を覚えますが、忘れたころに観返したら、また出会えるなとも思います。


『3』は三部作の中でも、特に人気がないみたいですね。
 なるほど分からなくもないです。
 今回は、三部作の最後ということで、色んな要素がてんこ盛りなんですけれど、その結果、なんとなくメッセージが分散してしまい、突き抜けるところを感じないのですよね。
 1作目と2作目に共通するストーリーラインとしては、冴えないピーター・パーカーが、正義を遂行することで幸せになる、という美しい流れです。特に『1』の、スパイダーマンという特殊能力を得て、宿敵ゴブリンを倒しつつも、エンディングにおいてMJに背を向けるシーンは鳥肌が立ちました。


 今回の主眼は、何だったのでしょうか。
 ハリー・オズボーンとの対決は避け得られなかったものでしょう。今となっては仲違いしてしまいましたが、誤解を解き、再び親友に戻るためには、雨降って地固まるではないですが、戦うことは理に適っています。特に、終盤の共闘するシーンは、胸が熱くなりました。
 しかし、かつてMJを巡って争った恋敵とは言え、死なす必要まではなかったのではと感じます。
 闇堕ちも妥当と言えましょう。『2』のときから、その傾向はありましたしね。ずっと正義の味方であり続けたピーター・パーカーが、ついに認められ、つい驕り高ぶってしまうことは理解できなくもないです。突然に現れた黒い蜘蛛は、若干のご都合主義を覚えなくもないですが、視覚的に分かりやすいことを考えるとありです。ただ、MJの店で、違う女性とデートして、しかも当てつけのように踊ったりするのは、いかがなものか。黒い蜘蛛は、あくまでピーター・パーカーの、ある感情を激化させているだけで、あの感情は小さいながら芽くらいはあったわけですよね。正直、ちょっと失望ですし、MJの心中を思うと見ていて辛かったです。


 エディ・ブロックとサンドマンことフリント・マルコとの対決は、どうだったのでしょうか。
 前者は、まあ、ピーター・パーカーが自身と向き合うきっかけになったので良いですけれど、サンドマンの方は、どうだったのでしょうか。スパイダーマンというヒーローを語る上で、ベン伯父さんの存在は避けては通れない道ですが、さすが、そろそろ充分ではないかと感じました。


 観ているときは、ハラハラしました。
 上述の通り、黒い蜘蛛の影響を受けているとは言え、粋がっているシーンにおいては、とんでもない失敗を犯してしまうのではないかと危惧し、事実、MJを傷つけたときは辛かったです。
 しかし、最後にはハリーとも仲直りするどころか結託して、共に敵に向かい合うシーンは感動でした。
 でも、やっぱり死んでしまったのは残念です。共に歩んでいくハッピーエンドはありえなかったのでしょうか。
 この後味の悪さですかね、今ひとつ手放しで褒めきれないのは。
 でもでも、あるいは、スカッとする明るさだけでなく、この一抹の切なさみたいなものもヒーロー物の醍醐味なのかもしれません。


 ここまで来ましたし、せっかくなので新監督マーク・ウェブによる『アメイジング・スパイダーマン』も観ることにします。

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