ドロッセルマイヤーさんのゲームマーケット2018秋の新作『ドロッセルマイヤーさんの法廷気分』を遊びました。
4人から6人で遊ぶことのできる、コミュニケーション系のゲームです。
非常に面白いデザインであると感じました。
ありそうでなかった、という点において、ひとつの発明でもあると思います。
キャッチフレーズは「推理と直感のおてがる裁判ゲーム」、日常的に自由に遊べる「ゆるゲー」というシリーズでリリースされていますが、個人的には、かなり本格的な、そして挑戦的なゲームという位置づけです。
各プレイヤは、それぞれ異なる役職を演じ、それぞれ異なる勝利条件を追い求めることになります。
被告プレイヤは、ある主張を行って、裁判長を欺くことを目指します。
裁判長プレイヤは、被告プレイヤの発言から、その真意を見抜くことを目指します。
検察官プレイヤは、被告プレイヤに質問することで、裁判長の判決を「ウソ」に誘導することを目指します。
弁護士プレイヤは、被告プレイヤに質問することで、裁判長の判決を「ほんと」に誘導することを目指します。
……と、ルールを、そのまま説明しても、今ひとつ伝わらないと思うので、例を交えて、説明させてください。
まず、被告プレイヤが、今回の主張を考えます。たとえば今回の主張は「焼き鳥はタレよりも塩が好き」だとします。しかし、被告プレイヤは、ほんとうはタレが好きなので、「ウソ」カードを場に伏せておきます。
被告プレイヤの主張が決まったら、いよいよ法廷が開幕します。
被告プレイヤの真意はどうあれ、検察官プレイヤは、裁判長に「ウソ」と言わせる必要があるため「あなた、ほんとうはタレが好きなんでしょう? 焼き鳥屋に行ったら、まず頼むのはタレのたっぷり掛かったネギマですよね?」と誘導します。
一方、弁護士プレイヤは、裁判長に「ほんと」と言わせるのが仕事なので「塩いいですよねえ。お好きなのは、やっぱり鶏皮ですか?」みたいな感じで語りかけます。
検察官と弁護士が質問して、被告が回答している間、弁護士は、口を開くことなく、じっと問答を観察します。そして、自分の心が決まった! そう思ったら、
「静粛に! 静粛に!」
木槌を叩き、判決を言い渡すときが来ます。
この後、裁判長プレイヤが「ウソ」と言った場合、被告が伏せたカードと一致しているので裁判長が勝利し、被告は敗北します。また、判決が「ウソ」だったため、検察官が勝利し、弁護士は敗北します。
逆に、裁判長プレイヤが「ほんと」と言った場合、被告が伏せたカードとは不一致なので、裁判長は敗北し、被告が勝利します。そして、判決が「ほんと」だったため、検察官は敗北し、弁護士が勝利します。
この通り、各プレイヤの勝利条件が、微妙に食い違っているのが、このゲームの面白いところです。
質疑応答のなかで、ときとして被告の真意が、ぽろっと出てしまうときがあります。たとえば「そうですね。串を触ると手が汚れるので、おしぼりは必須ですね」みたいな。普段から、タレのついた焼き鳥を食べているからこその発言であるとうかがいしれますね。
あるいは、この発言から、弁護士プレイヤは気づいてしまうかもしれません。被告プレイヤがウソを吐いているという事実に。しかし、弁護士は、真偽はさておき、とにかく裁判長に「ほんと」と言わせるのが仕事なのです。なんなら「ああ、指先についた塩を舐めずに拭き取るタイプなんですね」と被告の失言を取り繕ったりもします。
と言うわけで、上述の通り、個人的には、お手軽だともゆるいとも感じず、その代わり、かなり本格的で挑戦的なコミュニケーションゲームだと感じました。
口が達者なプレイヤ同士で遊べば、非常に盛り上がるゲームでしょう。とても好きです。
被告側が出題を考えるのが、ちょっと難しいよね。基本的には、二択の問題にした方がいいよね
確かに、お題によって盛り上がるかどうかが、大きく変わってくる。ぼくの主張した「キノコよりタケノコが好き!」は、良かったでしょう
あっきー、見破られてたよね
そうそう。弁護士プレイヤの方に「トッポとポッキー、どっちが好きですか?」って聞かれて「ポッキー」と答えた瞬間に「ああ、このひと、キノコの方が好きなんだ。でも、俺、弁護士だから、これ以上、突っ込んじゃダメだ!」と思われたらしいね。裁判長の方にバレなくて良かったよ
あっきー視点だと、裁判長を騙さないといけないからトッポって言わないといけなかったんだよ!
そうだったのかあ……